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  • 執筆者の写真TEAMくらデモ

学校にデモクラシーを! PTAはそのために何ができるのか

更新日:2021年4月12日

7月27日(月)に、「板橋区学校等緊急連絡メール」で、「【緊急連絡】PTA連合会より新型コロナウイルス感染症予防について」というタイトルのメールが登録者に届きました。


「板橋区学校等緊急連絡メール」とは、板橋区のウェブサイトによると、主に「区立学校(園)の管理者及び区教育委員会から、保護者の皆様等へ緊急情報(不審者情報や災害情報等)を電子メールによって、携帯電話やパソコンに配信」するもので、登録者は「小学校、中学校、幼稚園に通う児童、生徒、園児の保護者及びその関係者」となっています。


ところが、先のメールのタイトルには、「PTA連合会より」とあります。PTAの強制(自動)加入が社会問題になり、「自主的な任意組織」としての性格が改めて確認されているなかで、区立学校(園)の管理者及び区教育委員会ではない小学校・中学校のPTA連合会(P連)会長2名の文責でのメッセージが送られてくるのに違和感を持ちました。これでは、P連は教育委員会の一部のような誤解を受けてしまいます。メールの文面は以下の通りです。


 

令和2年7月27日 保護者の皆様 新型コロナウイルス感染症予防について  日頃から小学校・中学校PTA連合会の活動にご理解とご協力をいただき、心よりお礼申し上げます。

 さて、昨今の東京都のみならず全国的な新型コロナウイルス感染症拡大に皆様も憂慮されていることと存じます。

 そのような中、8月1日(土)から24日(月)まで夏季休業に入ります。各ご家庭で過ごす子どもたちが心身ともに健康であることを願ってやみません。そのために、私たち保護者ができることを精一杯行ってまいりましょう。そこで、我々小学校・中学校PTA連合会より、各ご家庭へ以下のことをご提案いたします。 1.正しく理解し感染を予防すること  私たち保護者自身が「3つの密(密閉・密集・密接)」を回避する行動をとりましょう。  子どもたちとともに、新型コロナウイルス感染症予防について、正しく理解し、行動しましょう。

【参考】 ①板橋区教育委員会ホームページ https://www.city.itabashi.tokyo.jp/kyoikuiinkai/gakko/1026102.html ②文部科学省ホームページ https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/08060506_00001.html 新型コロナウイルス感染症の予防 ~子どもたちが正しく理解し、実践できることを目指して~ ③各校の感染症予防に対する取り組み・・・各校ホームページをご確認ください。 2.抵抗力を高めること  お子さまとともに、バランスのとれた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけ、疾病に対する抵抗力を高めましょう。 3.偏見や差別につながる行為・言動を慎むこと  十分に注意を心がけていても、新型コロナウイルスに感染することがあります。その際は、感染者や濃厚接触者とそのご家族、この感染症の対策や治療にあたる医療従事者とそのご家族に対する偏見や差別につながる行為・言動を慎むよう、各ご家庭においてもお子様と話し合っていただき、ともに健やかな心を育てていきましょう。 4.確認事項  夏季休業中にPCR検査を受けられた際(ご家族を含む)は、各校へのご報告をお願い致します。  私たち保護者一人一人が、高い緊張感をもち、子どもたちが健康で2学期を迎えられるように、実行していきましょう。 板橋区立小学校PTA連合会 会長 (省略) 板橋区立中学校PTA連合会 会長 (省略) 【ご連絡・お問合せ】 板橋区立小学校PTA連合会 (省略) 板橋区立中学校PTA連合会 (省略)


 

板橋区の教育委員会に事実経過を確認したところ、P連の方からコロナ感染症に関する誹謗中傷の案件があって、一斉メールを送りたいとの打診があったこと。P連の名前でメールを送信し、問合せ先もP連にしたのは誤解を与える書き方だったかもしれない。教育委員会としては、板橋区内の学校で感染者が出た現在、偏見や差別を助長しない訴えは大事だと思っている。発信元の件やメールの運用については、今回の問い合わせを受けて今一度検討したい。不快な思いを抱いた保護者の方には申し訳ないとの回答を得ました。

上記のメールについて、発信元の問題の他にいくつか問題があると思っています。まずは本当に必要で緊急な連絡だったのか。感染症予防や「偏見や差別につながる行為・言動を慎むこと」については教育委員会のウェブサイトにも書いてあり、また、教育委員会や各学校からもメール、プリントを通じて周知してきたことです。屋上屋を重ねるメッセージをわざわざ出す必要があったのでしょうか。そもそも板橋区学校等緊急連絡メールの登録者が全員PTAの会員とは限りません。


また、「偏見や差別につながる行為・言動を慎む」ために、「健やかな心を育てていきましょう」とありますが、偏見や差別に立ち向かうためには、偏見や差別の社会的、歴史的根拠に関する知識もまた欠かせません。「健やかな心」の問題にコロナ禍との向き合い方を収斂させてしまうような書き方は、科学の問題を道徳の問題にすり替えてしまう精神主義にもつながりかねません。P連のメールは保護者への指示のようにも読めて、正直に言って気持ちの良いものではありませんでした。


新型コロナウイルス感染症予防についてのメールを出すならば、P連の要望を踏まえたうえで教育委員会が発信してもよかったようにも思います。


保護者と教師が子どもを真ん中に置いて手をつなぐこと、学校が地域社会との接点を見失わないこと、その地域社会が風通しの良い人間関係で多元的に構成されていることは、とても大切なことです。


「学校にデモクラシーを!」を実現するためにPTAの果たす役割は依然として重要だと私たちは考えています。と同時に「ブラックPTA」という言葉がメディアでも言われていますが、適正な運営によって保護者が強制されることなく、主体的にPTAに参加することはいかにして可能かも問われているのが現状です。冒頭で述べたように実質的な強制加入も問題となっています。他方で、PTAのなかには組織や運営のあり方について創意工夫し、より良い活動を目指している事例も数多くあります。


PTA問題について、くらしにデモクラシーを!板橋ネットワークとしては今後も追っていきたいと考えています。情報提供もお待ちしています。




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