労働運動への弾圧を市民の問題として考える―「関西生コン事件」上映会開催
- 高尾誠(「オール板橋」事務局長)
- 2 日前
- 読了時間: 3分
民主主義の基盤が揺らぐとき、私たちに何ができるのか
12月20日(土)の18時より、板橋区で活動する超党派の市民運動「戦争反対!憲法改悪を許さない オール板橋」が、社会民主党板橋総支部との共催で、ドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件と私たち」』の上映会を開催する。会場は板橋区グリーンカレッジホールである(都営三田線「志村三丁目」駅が最寄り。大山にあるグリーンホールではないことに注意)。

「関西生コン事件」とは何か:正当な組合活動への強烈な弾圧
2017年、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関生支部)の組合員たちは、ストライキや労使交渉、コンプライアンス活動といった、労働組合として当然の活動を展開した。
ところが翌2018年以降、組合員たちが次々と逮捕・起訴される事態が発生した。容疑は威力業務妨害、強要、恐喝未遂などである。
驚くべきことに、正社員化の要求や、子どもを保育園に入れるための就労証明書の発行を求めた行為までもが「強要未遂」とされたケースが存在する。
労働者が労働条件の改善を求める活動は、労働基本権として憲法が保障する権利である。その正当な活動が、その正統性を判断されることなく一方的に違法行為とされ、刑事処罰の対象とされたのが、この「関西生コン事件」の本質である。
なぜこれが私たち市民の問題なのか:憲法と民主主義の危機
これはあくまでも「労働組合の問題でしょ?」と考える市民もいるかもしれない。しかし、この事件は私たち市民にとって、決して他人事ではない。もし、労働者の正当な活動が違法行為とされ刑事処罰されるならば、以下の権利保障がすべて無意味となる。
憲法28条が保障する労働基本権
労働組合法1条2項が定める組合活動の刑事免責
これは、戦前の治安維持法の再来を意味する。労働運動への弾圧は、そのまま民主主義の基盤を崩壊させる行為に他ならない。
民主主義は市民運動と労働運動の両輪で支えられる
民主主義社会の基盤は、労働運動と市民運動という二つの柱で支えられている。その一方である労働運動が、現在、戦後もっとも強烈な弾圧を受けている状況だ。
だからこそ、労働者が市民と力を合わせて闘い、市民が労働運動に手を差し伸べることが必要である。市民運動と労働運動との連帯なしに、日本の民主主義は成立しない。
「違い」を乗り越えて協力する姿勢こそが、社会の民主化運動を推し進める。運動内部の民主主義によって作られる連帯こそが、今、求められている。
「オール板橋」の取り組みは、超党派で立場の違いを超え、共に民主主義を守るために行動するその実践である。この上映会は、そうした連帯の一歩となるはずだ。 この事件は、遠い関西の出来事ではなく、私たちの自由と権利の問題である。ぜひ会場に足を運び、この危機的状況を共有し、連帯の力を確認してほしい。








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