オール板橋が「いのちのとりで裁判」学習会を開催―最高裁判決後も続く課題を学ぶ
- TEAMくらデモ

- 2025年12月3日
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11月28日、「戦争反対!憲法改悪を許さないオール板橋」の主催で、生活保護基準引き下げをめぐる「いのちのとりで裁判」の学習会が開かれました。講師は元生活保護担当職員で、退職後も生活保護を権利として確立するための活動を続けてこられた田川英信さんです。
いのちを救う最後のセーフティネットが切り縮められてきた
田川さんは、いのちを救う最後のセーフティネット(まさに「いのちのとりで」)である生活保護制度が、憲法25条の保障にも関わらず、未だ権利として確立されていないどころか、むしろ行政の心ない違法・不適切な運用により切り縮められてきたことを、データに基づいて詳しく説明されました。
とりわけ2012年に自民党が政権公約として「生活保護費の水準の一割カットなど抜本的な見直しを行う」を掲げて以来、執拗に生活保護バッシングが展開されてきました。そして2013年から2015年にかけて、平均6.5%(最大10%)という史上最大の生活扶助基準引き下げが強行され、保護を受けている方々の生活に大きな打撃を与えることになったのです。
12年間の裁判闘争と最高裁判決
この引き下げに対し、全国1万人が不服審査請求を申し立て、29都道府県で1000名の原告による裁判が始まりました。
12年間にわたる闘いの中で、当初は地方裁判所で敗訴判決が続きましたが、その後、地裁・高裁で勝訴判決が相次ぎ、2025年6月27日、最高裁が生活保護基準の引き下げを違法として取消を命じる判決を出しました。
判決では、政府が引き下げの根拠としていた「デフレ調整」(物価が下がったから生活保護費も下げるという考え方)について、その計算方法が専門家の意見や統計データの使い方として適切ではなかったと指摘しました。厚生労働大臣の判断と手続きに問題があったと認定されたのです。
判決後の国の対応に疑問の声
最高裁が違法と判断した以上、引き下げた扶助費を受給者に返還すべきではないかという意見があります。
しかし国は判決後の11月21日、違法とされた「デフレ調整(−4.78%)」とは別の根拠を持ち出しました。「低所得者(下位10%)の消費実態との比較」という新たな方法で計算し直し、「2013年当時に遡って」「−2.49%」の減額が妥当だったという見解を示したのです。原告には「特別給付金」として追加給付するとしています。
この対応については、いくつかの問題点が指摘されています。過去に遡って減額を正当化することは法の原則に照らして疑問があること、また最高裁が違法と判断した引き下げの本質的な問題に向き合っていないのではないか、という声が上がっています。裁判の過程で既に亡くなられた原告の方もおり、より誠実な対応を求める声が強まっています。

なぜ、生活保護がこれほど攻撃されるのか
学習会では、生活保護制度をめぐる構造的な問題についても議論が交わされました。日本の生活保護費はGDP比0.8%にすぎません。これは欧米諸国(GDP比2〜4.1%)と比べて著しく低い水準です。国家予算のごくわずかな割合でしかない生活保護費に、なぜこれほどまでの削減圧力がかけられるのでしょうか。
田川さんは、生活苦に喘ぐ多くの国民の不満のはけ口として、生活保護受給者への攻撃が利用されてきた構図を指摘しました。「あの人たちだけが楽をしている」という感情を煽ることで、人々の怒りの矛先を権力ではなく弱い立場の人々に向けさせる―これは外国人差別や排外主義とも共通する手法です。
人々を分断し、対立させることで、国民の人権確立を妨げる。生活保護への攻撃には、そうした意図が透けて見えるのです。
この問題は私たち全員に関わっている
さらに重要なのは、生活保護基準が47もの社会福祉制度の指標となっていることです。就学援助、健康保険料や介護保険料の減免、障害者支援サービスの利用料など、多くの制度が生活保護基準を参照しています。
つまり、生活保護基準の引き下げは、生活保護を受けている方だけでなく、低所得世帯全体、ひいては私たち国民全員の暮らしに影響を及ぼします。生活保護への攻撃は、実は私たち全員に向けられた攻撃なのです。
困難な状況に置かれた人々を切り捨てる社会は、いずれすべての人にとって生きづらい社会になります。こうした政策は、まさに「棄民政策」と呼ぶべきものではないでしょうか。
人権を守ることは平和を守ること
田川さんは学習会の中で、この問題がより大きな文脈の中にあることを指摘されました。
改憲、軍拡へと進み、戦争挑発を繰り返す今の政権の姿勢と、人権への攻撃は同じ根から出ています。人々の暮らしを軽んじ、尊厳を踏みにじる政治は、やがて人々を戦争へと動員する政治につながっていきます。
憲法が保障する生存権や人間の尊厳を守ることは、平和で民主的な社会を守ることと切り離せません。生活保護をめぐる闘いは、私たちの社会がどのような社会であるべきかを問う闘いでもあるのです。
今こそ、様々な場面で国民が立ち上がるべき時ではないでしょうか。一人ひとりの人権が守られる社会、支え合いの輪が広がる社会をともに作っていきましょう。
板橋には「オール板橋」があります。








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