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【連載】私の岸本区政日誌(1)「期待した区民が問う。岸本区政は公約を果たしたのか」

  • 執筆者の写真: 吉田洋(杉並区民)
    吉田洋(杉並区民)
  • 6 日前
  • 読了時間: 6分

更新日:6 日前

杉並区長選挙まであと2ヶ月を切った


杉並区長選挙まで、あと 2 か月を切り、周辺はにわかに活気づいてきた。街角々には、現職の岸本区長のポスターがたくさん貼られ、私の最寄り駅の阿佐ヶ谷駅では、2〜3 日に一度のペースで田中良前区長が街宣活動をしている。Twitter 上では各候補の支持者による舌戦もにぎやかだ。


私はその風景に関心がありつつも、非常に複雑な気持ちで見ている。


4 年前の杉並区長選挙の際、私は岸本候補を熱心に応援していた。それ以前は長い人生の中で、おおよそ選挙などというものに、一度も関わったことがなかった。そんな、ごくごく普通の一般区民の私が、「何か自分にも出来ることはないか?」「何か一票以上の貢献がしたい」との衝動に突き動かされ、細やかながらポスティングのお手伝いをしたり、Twitter で岸本候補への応援メッセージを多数発信していた。


それがなぜ、今、このような虚しく苦しい気持ちになっているのか? その心情と共に、一区民が見たこの四年間の岸本区政を振り返って記してみたい。

今も期待し、応援しているものの……


最初に結論から記すと、私はこの岸本区政は、うまくいかなかったとの評価である。大いに失望している。 もちろん私の期待と希望が大きかったゆえの反動もある。また、私の子どもが、あの不可解な三角移転に見舞われた杉並第一小学校の児童で、具体的な問題の当事者であったことも、大いに影響している。だが、失望はそこだけではない。


岸本区政に期待し、応援した少なくない区民が、実は私と同様、内心は苦々しい気持ちを抱いているとも聞く。うまくいかなかったとの評価、それは、誰が区長になっても区政に区民の声は届かないのではないか、という失望である。


私自身、岸本区長の理念に賛同し応援してきた区民の一人として、区長を支えられなかったことを、率直に反省し、お詫びしたい気持ちだ。この気持ちは、岸本区長に直接伝えたことでもある。


もちろん岸本区政の全てがダメということではない。岸本区長自身が語る実績や、支援者の方が挙げる「岸本区政でココが進んだ!」自体に嘘はないだろうと理解している。


だが、ここで改めて、岸本区長が選挙前に掲げていた公約集『〈さとこビジョン〉対話から始まる みんなの杉並構想』(2022年6月18日、Ver.3) に立ち返ってみたい。その全体の根底にある「対話の区政」の理念にも注目してほしい。


選挙公約〈さとこビジョン〉を見返す

1.子どもの視点で、子どもの育ちを支えます。 〇杉並区は、他の自治体に比べても先進的と言われる、小さい区域ごとに児童館が配置され、運営には子どもの意見が反映される仕組みがありました。ところが、今の区⾧は児童館を全廃する方針を出しています。児童館は児童福祉の視点から拡充します。児童館を地域ごとに配置し、以前と同じ数に戻すことをめざします。児童館の運営に子どもたちが参加し、地域社会の担い手の一員として成⾧できる場となるように支援します。
3.「対話」を大切にしたまちづくりを。 〇区立施設の統廃合や駅前再開発、大規模道路拡幅計画など、住民の合意が得られていないものはいったん停止し、抜本的に見直します。

<結果>

●児童館: 田中良前区政の全廃方針をストップ。元々あった全41館中、現在は25館。今後7館の新設方針も具体的な計画なし。以前の館数、全小学校地域への配置には遠く届かず。
●杉並第一小学校の移転を伴う阿佐ヶ谷駅北東地区の再開発: 田中良前区政の計画を踏襲・追認。さらに現在、病院が地下構造物(地下の壁等)を残置したまま杉並区に引き渡すことになり、既に計画の前提条件が破綻。事態はますます悪化。
●都市計画道路:田中良前区政の計画を踏襲・追認。補助227号線、132号線、133号線は、改めて引き続き優先整備路線に選定される。

この児童館、阿佐ヶ谷再開発、都市計画道路の問題は、区長選挙のずっと以前から顕在化しており、それぞれに住民運動のグループが活動していた。その関係者は、岸本区長の候補擁立~選挙運動にも大なり小なり関わり、候補者だった岸本区長とも意思疎通を図ってきた。

だから、上記のような公約になっている。特に道路については、映画『〇月〇日、区長になる女』でも、その中心的な要素として取り上げられていたことは、映画を見た方はご承知のとおり。


これらの点では、実質的な成果は乏しかった。これらの点をもって、各住民運動のグループの人が岸本区政を評価しないとするのは当然である。もちろん、結果だけを見て、ただ「公約違反」と詰っているわけではない。そこに岸本区長の精一杯のがんばりと、その末の苦渋の挫折があれば、見方も変わっていただろう。だが、そうではなかった。


区外の共感、区民の切実ーー岸本区政への2つの期待


それでも今なお、岸本区長にかけられる期待は大きい。


集会を開けば多くの人が参加し、喝采と賞賛の声が上がる。実は、当選後、岸本区長本人の口からはほとんど聞かれなくなったが、「ミュニシパリズム」「フィアレスシティ」は、今でも岸本区長を紹介する際に使われる言葉だ。


私はそれを、自分たちの理念との一致と、岸本区長に託された期待の大きさから生まれる、やや過剰な期待でもあると思う。


なぜ、このような理念と実際、期待と現実の乖離が生まれたのか。


その一つは、岸本区長に期待する人々のあいだで、区政を「自分ごと」として捉える度合いに差があることだ。


岸本区長を支持する人には、区外の人も多く、著作や映画を見て感銘を受け、共感した人が少なくない。そうした人々の中には、杉並区政の具体的な現実までは十分に知らない人もいるだろう。


また、区内においても、それぞれの問題が自分自身の問題ではなく、区内のどこかの誰かが困っている問題として受け止められている場合もある。


「そりゃ当事者は大変だろうが、しょうがないじゃないか」――その程度の距離感で見られていることもある。私も実際、そうした声を直接たくさん聞いた。


それよりも、平和、人権、民主主義、環境問題などについて、自分と同じ理念を、自分に代わって発信してくれる人に区長であってほしい、と期待する気持ちが強くあるのだろう。私自身、その感覚はわからないわけではない。


自分の子どもに「あの人が私たちの街の区長だよ」と言った時に、排外的・差別的な人では困る。だから、その気持ちは理解できる。


だが、区民の暮らしに直結している地方自治体の首長や議員には、大きな政治理念以上に、個々の区民の具体的な問題に真正面から向き合い、区民に寄り添い、解決に全力を注いでほしいとの期待もまた大きい。


住民運動の願いを公約にした岸本候補に対して、こうした期待をかけるのは、区内の住民として当然のことだろう。(続)

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