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PTAに入っていない私のPTAの豆知識 その2| 入会の意志がないのにいつの間にか会員になってしまう理由


 2回目のPTAの豆知識は「個人情報保護」の話をメインにしたいと思う。


 1回目の「PTAに入っていない私が、新入生の保護者に伝えたいこと」でも少し書いたが、まず、考えてほしいことがある。今までの人生で、「入会します!」と意思を表明することなく何かの団体に入っていたことがあるだろうか。


 馬鹿馬鹿しいと思うかもしれないが、私は真剣に考えたことがある。習い事の類ではなかった、とハッキリ言える。どこかの自治体の住民になる場合も住民登録をした。じゃあ、日本国民になる場合は?やはり親が出生届を出している。小中学校の入学は、住民票を元に自治体からお知らせが来て、「この学校入学することになりますけどいいですか?」と確認があった。


 もし、PTAのように入ってほしい人全員を自動的に入会させる方法があるなら、他の団体が真似したいんじゃないかと思う。しかし、やろうと思ってもそれは出来ないのだ。なぜなら団体側はその会に入っていない人の個人情報を持っていない。あなたの存在を知らないからだ。あなたが「入会したい」という意思を示し、会の運営に必要な個人情報を渡すには入会届が必要だ。けれども多くのPTAにはこれがない。ではどうやって会員や会員の個人情報を把握するのだろうか。


 以下の点を書こうと思う


A) 入会申込書を使わずにPTAが個人情報を取得する方法

B) PTAに加入しない人の個人情報の扱い方

C) 結社の自由について


A) 入会申込書使わずにPTAが個人情報を取得する方法


 最近では入会申込書を用意し、入会の意思確認と同時に個人情報を入手をするPTAも少しずつ出てきたが、まだまだ少なく、ほとんどのPTAは自動加入だ。他の団体が真似できない自動加入という荒業は、学校が持っている子どもの個人情報をPTAが保護者の了解を得ずに使用する手法だ。「学校の個人情報を使っている?そんな馬鹿な!」と思うかもしれないが、そのまさかは高確率で起きている。


 では実際にどのようなパターンがあるだろう。別に調査したわけではないが、私自身の経験や、PTAの役員経験者から聞いた話を分類するとこんな感じになる。

① 学校がPTAに学校名簿を見せる

② PTAが年度初めに校内に掲示されるクラス発表文書などを入手する

③ PTAが下駄箱や学校の掲示物からクラスの子どもの名前を入手する


 信じられないことだが、①(学校がPTAに学校名簿を見せる)は、私がPTAを退会した頃にはわりと普通に行われていた方法だ。校長から直接聞いたのだから間違いない。


 ある校長は、「登校班編成に必要なので、担当になったPTAの人(保護者)に渡しています。個人情報は学校外への持ち出しはできず、班編成が終了後、資料は返却してもらい、鍵のかかる場所に保管しています。保護者本人に確認はしていませんが、必要なことなので問題ありません。」と言っていた。


 PTAに電話番号を知らせていないのに、「役員や係りが決まりました」とか「役員に推薦されました」と、電話がかかってくることはないだろうか?これもほとんどの場合、保護者が学校に伝えた電話番号を学校がPTAを外部団体と認識せずに知らせている。



 最近ではさすがにこれは問題だと認識され始めたので、今は②(PTAが年度初めに掲示されるクラス発表文書などを入手)のような例が多いのかもしれない。②に関しては学校側ではなく、PTA側に法的問題が発生するだろう。現在の個人情報保護法では、PTAは個人情報取り扱い事業者にあたるし、個人情報は本人からもしくは使用目的を本人に明示して本人の同意を得て他の事業者から取得することになっているからだ。


 しかし、②(PTAが年度初めに校内に掲示されるクラス発表文書などを入手)の方法は本人に無断で取得している。会員になるのは保護者なのに、子どもの名前を入手するのは奇妙ではあるのだが…。PTAの係一覧などはなぜか子どもの名前になっていることがある。たとえば「広報委員 板橋 花子(子どもの名前)」などだ。私は疑っている。会員の名前がわからないので、子どもの名前を使用しているのではないかと。


 さて、②(PTAが年度初めに掲示されるクラス発表文書などを入手)の方法は学校には問題がないと書いたが、本人に無断で個人情報を取得していることを学校が知っているのに黙認するのなら、その点は問題だと私は思っている。学校内で不法行為をする団体を優遇し活動させていることになるからだ。ちなみには名前だけなので個人情報ではなく問題ないと言っていた教育委員会の管理職がいたが、学校名、学年、クラス、名前がそろっていればどう考えても個人情報だろう。


 また、クラス発表が掲示のみですぐにはがされてしまうから、③(PTAが下駄箱や学校の掲示物からクラスの子どもの名前を入手)を行なっていたPTA役員を具体的に知っているが、彼女はとても悲しいと言っていた。「子どもたちのためと思って引き受けたけど、私が不審者みたいで…」と。せっかく引き受けてくれている役員さんをこんな気持ちにさせてほしくないと思う。


 もしPTA以外の団体が、② (PTAが年度初めに掲示されるクラス発表文書などを入手)③(PTAが下駄箱や学校の掲示物からクラスの子どもの名前を入手する)などの方法で名簿を作り、営業活動などに利用していたらどう思うだろうか。私なら好印象を持てない。


 では、個人情報保護法を守ってPTA活動をするためには法律を全部読んで理解しないといけないの? それでは、やりたい人がいてもハードル高すぎるだろう。そもそも、道路交通法をすべて読んでいなくても道路は歩けるし車だって運転できる。個人情報も大意を理解していれば全文細かく理解しなくても大体大丈夫だ。


 PTA活動に関して言えば、個人情報は本人から取得するか、もし学校から取得するなら目的を細かく明示して本人の確認を得ればいいだろう。そして削除依頼があれば削除する。わりと当たり前でこれくらいなら出来そうな感じがするが、なぜ3つのことをやらないのだろうか。


・偽りその他不正の手段により個人情報を取得しない

・使用目的を明確にし、目的以外に使用しない

・削除依頼があればそれに対応する


 ちなみに、個人情報に関しては二つの法がある。個人情報保護条例(自治体が作るもの)は学校が守る必要があるもの。対して改正個人情報保護法は一般の事業者(PTAを含む)に適用される法律だ。この点も紛らわしいが、一つの法でないことを覚えておくと誰かに相談するときなどに役に立つと思う。例えば学校が個人情報を守っていないことを伝えるなら、自治体の個人情報担当課だし、PTAが個人情報を守っていないこと相談するなら個人情報保護委員会となる。


B)PTAに加入しない人の個人情報の扱い方


 PTA活動において個人情報は、通常本人から入手するか、本人の同意を得て学校から入手することになる。では会員にならない人の情報(非会員情報)はどうなるだろうか。


 まず前提として、本人の同意なしでは学校→PTAも、PTA→学校も個人情報を渡してはいけないし、利用目的以外で使用することはできないことを押さえておきたい。


 最初に、PTAの立場から考える。初めからPTAに入らない人がいたとする。するとPTAはその人の情報は持っていない。非会員が誰なのか知りたいと思った時、学校名簿とPTA会員名簿を比較すれば分かるだろうが、それは学校の名簿をPTAが不適切に使用したことになるだろう。学校名簿は教育活動のために作られ学校で所有する情報であり、PTA活動のためにPTAが使用することを本人は同意していない。


 途中退会者の個人特定は可能だろうか。退会した人が個人情報の削除依頼をすればPTAは削除する必要があり、やはり非会員が誰かということをPTA活動に利用することは出来ない。


 次に、学校の立場ではどうだろうか。学校はPTA会員の名簿は持っていないから、会員が誰か知りたい場合はPTAに依頼し本人の同意を得た場合は誰が会員か知ることが出来る。しかしPTAは非会員情報を持っていないため、PTAに確認しても把握できない。


 すべての会員の同意を得て会員名簿を入手し、学校名簿と比較すれば出来るのではないか。しかし学校の名簿はあくまで教育活動に使用するためのものだ。そこで学校名簿との比較をすればやはり目的外に学校名簿を使用したことになるだろう。学校がPTA活動の為に学校名簿を使用するなら、保護者全員から同意を取っていれば可能だろうが、入会していない人は同意するだろうか。PTAに入らない人が、学校に対してPTAへの個人情報の提供の同意をしなければ、学校もPTAも合法的に非会員を把握することはできないだろう。


 そもそも、ある団体に入っていない人を、その団体が把握する必要は宣伝目的以外ほとんどない。通信教育などでは退会時に個人情報の削除依頼をしなければその後、延々と再入会を勧めるダイレクトメールが届く。PTAに関して言えば、子ども達全員に配布出来るPTAからのお便りで勧誘効果はあるだろうし、広報紙はその代表的なものになりえるから、勧誘を目的とする非会員の把握は必要ないはずなのだが、PTAは非会員を把握しようとする。なぜか…。この話は次回以降に書こうと思う。


結社の自由について


 少し話がそれるが、入会届に関連のある「入会の意思確認」についても触れたい。「PTAに入っていない私が、新入生の保護者に伝えたいこと」でも触れたが、公立学校のPTAはどんな学校のPTAでも任意加入だ。時々インターネット上で、「隣の学校のPTAは任意加入になった。うちの学校は強制。うちも任意加入にならないかなぁ」なんて文章を読むことがある。そんな時私は、「うーん、あなたのところも実は任意加入ですよ」と、ひとり心の中でつぶやく。たとえPTAの会則に全員加入ですと書いてあっても任意加入だ。なんで?と思うかもしれない。その根拠は憲法で認められている自由権の一つ、「結社の自由」があるからだ。


憲法第二十一条

1.集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保証する


 結社の自由とは、自由権の一種で、誰でも団体を作ったり加入したりできるだけでなく、脱退したり、団体を解散する権利も含まれている。「憲法は国家権力が守るべきことを書いてあるのだから、PTAには守る義務なんてないんじゃない?」という疑問もあるかもしれない。しかし、公立学校では教員は公務員で、教員は公務員になる時に「憲法を尊守します」と宣誓しているはず。その公務員が保護者の結社の自由が侵害されている状況を知っていて、自らもその団体に入って協力している状態を考えると、意思確認もせずに全員入会させることはかなりリスクが高い行動だと言えるだろう。


 最後に。

 入会届は必要だ。加入の意思確認と同時に、合法的に個人情報の入手もできる。もしも「入会するかも聞かれず勝手に会員にさせられて会費を引き落とされた」とPTA会長が訴訟を起こされたら、PTAは法人格がないのでPTA会長個人に対して訴訟が起こされることになる。今の会長だけでなく未来のPTA会長のためにも、また現在の会員の意思を尊重するためにも入会届は重要だ。「なんだか良く分からないけど入らなくちゃいけないと思ったから仕方がなく入っている」と感じている人とのPTA活動は楽しくないだろうし、意見の対立も多くなり、運営も難しくなるだろう。会の趣旨や理念に賛同し、入りたいと思った人が入会している団体だからこそ、本当の意味で子どもたちのための活動ができるのだと思う。「入会申込書」がないPTAはちょっと眉に唾を付けることをお勧めする。

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