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2026年衆院選・東京11区を読む――「板橋の民意」は覆されたのか

  • 執筆者の写真: TEAMくらデモ
    TEAMくらデモ
  • 2月17日
  • 読了時間: 7分

更新日:2月18日

2024年10月選挙との比較から東京11区で何が起きたのか、そして市民運動の課題は何かを考えてみたい。


なお、以下の分析は、選挙区・比例区の集計結果(得票数・得票率)の増減パターンに基づく推測である。同一の有権者がどの候補・政党から別の候補・政党へ投票先を変えたかを確定するには個票データが必要であり、集計データだけでは票の移動(フロー)を断定することはできない。この限界を踏まえたうえで、今回の衆議院選挙についての見解を提示したい。


◾️投票率は上がった、しかし票はどこへ向かったか?

有権者数はほぼ横ばい(39万人台)のまま、投票率は52.8%から56.7%へと3.9ポイント上昇した。投票者数にして約16,000票の増加である。


増加した投票は自民党と新興勢力(参政党・チームみらい等)に向かったとみられ、「中道」や護憲を明確に掲げる政党には向かわなかった。

◾️選挙区の結果――下村氏復活とあくつ候補の大幅減


あくつ幸彦候補の得票は、80,947票(2024年)から53,001票(2026年)へ。約28,000票の減少である。2024年に小選挙区制下で初めて下村博文氏を破った歴史的勝利からわずか1年余り。その「板橋の民意」は覆されたように見える。



一方、下村博文候補は57,275票から69,007票へと約12,000票増加した。裏金問題・統一教会問題で自民党非公認となった2024年から党公認を回復し、党組織がフル稼働した結果と考えられる。


今回の選挙結果にとって決定的だったのは、候補者が増えたことである。国民民主党・高沢候補が38,445票、参政党・松方候補が19,149票を集めた。この両者だけで57,594票。2024年には存在しなかったこれらの選択肢が、「反下村」の票を分散させ、あくつ候補に票が集まりきらなかった大きな要因と言えるだろう。



◾️比例区が映す「本音の政党支持」

比例票は、有権者のより率直な政党支持を映す面がある。この数字を見てみよう。



「中道」の比例票は半減した。2024年は立民42,092+公明19,926=62,018票(比例総投票数の30.1%)。しかし合流後の「中道」は35,969票(16.2%)にとどまった。雑駁な論じ方ではあるが、合流は「1+1=2」にならなかったと言えるだろう。


自民+維新は2024年の62,178票(30.2%)から85,185票(38.4%)へ大幅な回復傾向が見られる。ただし2021年の約52%には及ばず、裏金ショックからの「戻り」にとどまるだろう。


チームみらいが27,006票(12.2%)を獲得し、板橋区で第3党の位置を占めた。前回は立憲民主党やれいわに票を投じていた層の一部が流れた可能性がある。れいわは14,452票から5,557票へ、6割以上が消えた。全国的にも6.9%→2.9%であり、東京11区に限った現象ではない。



◾️板橋の比例票から、選挙の特徴を指摘してみる


では、この選挙結果をどう読むか。


まず確認すべきは、2024年の「裏金選挙」の効果が一過性にすぎなかったということである。前回の自民党凋落は、裏金問題と統一教会問題が争点化し、加えて石破茂首相への不人気が重なった結果だった。今回はそれが一転し、高市旋風が吹いた。東京11区の数字は象徴的で、下村氏の選挙区得票69,007票は自民の比例票71,052票とほぼ一致している。


つまり、下村氏の復活は個人的な支持の回復というより、自民の組織票に高市効果が上乗せされた結果と見ることができるのではないか。党公認さえ復活すれば票は戻る――自民の組織的基盤の強さを感じた。


ちなみに、全国の小選挙区で自民党の得票率は49.2%だったが、獲得した議席は289議席中249、実に86%を占めた。半数に届かない得票で、9割近い議席を得る。選挙制度は民意を充分に反映できているのか。小選挙区制度で本当にいいのか。民主主義の制度設計そのものが問われているとも考える。


次に、「中道」の失速である。立憲と公明の合流は、有権者の支持拡大にはつながらなかった。中道幹部が目指した「1足す1が3にも4にもなる」効果は実現するどころか、旧立憲42,092票と旧公明19,926票の合計62,018票(2024年比例総投票数の30.1%)が、合流後は35,969票(2026年比例総投票数の16.2%)へと縮んだ。安保・原発・沖縄といった政策の根幹を曖昧にしたまま進んだ政党再編は、市民にとって「意味のある選択肢」を提供できなかったのではないか。


得票の増減パターンから推測すれば、「非自民・非中道」の票は、参政党・チームみらい・国民民主に向かった可能性も指摘できる。この三党への支持は、左右のイデオロギーを超えた「既存政党への不信」の表れとも言われている。全国比例でも参政7.4%+チームみらい6.6%=14.0%に達する。板橋ではさらに顕著で、国民民主11.9%+参政6.6%+チームみらい12.2%=30.7%と、比例票の約3割をこの三党が占めた。この規模はもはや無視できない。


他方で、俗にいう「左派・リベラル」勢力の退潮が加速していることは、疑いようもない事実だ。東京11区の比例で、共産・れいわ・社民の合計は36,186票(17.6%)から22,874票(10.3%)へと大きく後退した。約13,000票、マイナス7.3ポイント。非自民・非中道の声は確かに存在しているのに、「左派・リベラル勢力」はそれを受け止めきれなかった。この現実は、全国的な趨勢と軌を一にしている。



◾️板橋の市民運動は衆議院選挙をこう捉えて動いた


「戦争反対!憲法改悪を許さない オール板橋」は、安保法制への危機感を出発点に、板橋区で超党派の市民共闘組織として活動を続けてきた。下村博文氏を板橋の代表として国政に送ることは、立憲主義・政治倫理・公教育の中立性のいずれの観点からも認められない――「オール板橋」は、この立場から「落選運動」を展開してきた。


2024年10月、あくつ幸彦氏が下村氏を破って当選した。開票率0%の段階で当選確実が報じられるほどの明確な勝利であり、小選挙区制導入以来、東京11区で下村氏以外の候補者が当選したのは初めてのことだった。


しかし2025年1月、立憲と公明の合流による「中道改革連合」の結成が、市民不在のまま進行する。危機感を抱いた「オール板橋」は1月16日に声明を発表し、さらに事務局長談話であくつ議員に対し、憲法9条の堅持・辺野古新基地反対・原発ゼロの3点を要望した。


そして今回の選挙結果である。あくつ候補に票が集まり切らなかったことは、「中道」への合流に対する有権者の不信を表しているのではないだろうか。「オール板橋」が声明で「安保法制や原発政策といった政治の根幹を曖昧にしたまま進む政党再編は、市民にとって意味のある選択肢とはなりえない」と指摘した通りの結果が数字として現れたことは、大変に遺憾である。


投票率が上昇したにもかかわらず「中道」が失速した事実は、政治への関心が高まった有権者が既存の対抗軸に失望し、参政党やチームみらいといった新興勢力に流れたことを意味する。消費減税への支持が集中した背景には、生活の苦しさという切実な現実がある。左派・リベラル勢力がこの切実さに応えきれていないことは、正面から受け止めなければならないだろう。


◾️これからの板橋の市民運動の課題は何か


では、ここから何をするのか。


まず問われているのは、「生きること」の切実さに応答する言葉を持てるかどうかであろう。「護憲・反戦」という原則は手放さない。しかしそれだけでは、消費税や物価高、賃金の停滞、住居費の重さに日々苦しんでいる人たちの心には届かない。参政党やチームみらいに流れた票の背後にあるのは、生活への怒りと不安であり、そして逆説的ではあるが「政治」への期待でもある。


政治を大事に考え、政治をあきらめず、政治によって社会をより良いものにしていきたいという声。その声に応えること――政治の復権を市民の手で遂行していくという大きな課題が、この選挙結果から見えてきた。


下村博文氏の問題も、選挙結果によって終わりにしてはならない。統一教会との関係、裏金問題、「親学」の推進による公教育の歪み――これらは当選・落選とは別の次元の問題であり、板橋から問い続けなければならない。


より広い視野では、俗にいう「左派・リベラル」勢力の退潮という全国的趨勢にどう向き合うかも問われている。共産・れいわ・社民がそろって票を減らしている現実から目を逸らすわけにはいかない。


現在、労働組合運動と市民運動、民主団体が連携して「戦争反対!憲法改悪を許さない オール板橋」の運動に取り組んでいる。板橋から、次をつくる。憲法を変えさせない闘いは、ここからである。社会の発見と社会運動が今ほど大事な時代はない。板橋で政治を大事にし、社会を変えたいという思いを持つすべての人に、「オール板橋」の運動への参加を呼びかけたい。 ▶ 会員登録はこちらから https://forms.gle/b9fdcCDUMDQ3M2sc9

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