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板橋区✖️漫画『チ。』PR動画をめぐる問題――公的広報のあり方を問う

  • 執筆者の写真: TEAMくらデモ
    TEAMくらデモ
  • 9月3日
  • 読了時間: 3分

板橋区が漫画『チ。―地球の運動について―』とコラボレーションして公開したPR動画が、その表現をめぐって物議を醸しています。


今朝、この件について板橋区役所の広聴広報課に問い合わせたところ、担当部署である都市計画課につながれ、詳しい話を聞くことができました。



私たちが問題視した点


大きく2つあります。 第1に、動画そのものが「区民に期待感やサプライズ感を持たせたい」という意図は理解できるものの、公的な広報としては意味不明であること。


第2に、動画内で使われている言葉が、行政が公式に発するメッセージとして不適切ではないか、という点です。


とくに問題なのは次の二つのフレーズです。


「税をささげれば 権利を得られる」 権利を税との引き換えに考える表現であり、現代の人権意識からすれば誤った認識です。

「労働をささげれば 報酬が得られる」

働くことが困難な状況にある人びとへの配慮を欠いています。


こうした表現を、板橋区が公式SNSで発信してしまったこと自体が問題だと私たちは考えています。


区担当者の回答


区の都市計画課の担当者に直接確認をしました。その主なやり取りは以下の通りです。


  • 問題の言葉は漫画のセリフで、「区のメッセージ」ではない。だが、結果的に区民に誤解を与えた。

  • あくまで「区としてやろうとしていることの予告」だった。

  • 誤解を招いたことは認識しており、動画差し替えを検討している。

  • 15世紀のヨーロッパを舞台にした『チ。』の世界観を伝えたかったが、現代に置き換えると誤解を生じた。

  • 区のガイドラインに従い、内部検討や版元との確認も行ったが、わかりにくさが残ったのは反省点。


一方で、区側は「SNS上でリポストが万単位に達するなど大きな反響を得ており、期待感も感じている」と評価しつつ、「十分に伝わらず誤解を生んだことも承知している」と述べました。



市民としての要請


私たちからは、行政は社会的弱者のセーフティーネットであること、公務労働の意味を改めて踏まえ、広報のあり方を真剣に考えてほしいと伝えました。とりわけ今回の動画は、すでに現に誤解を生じさせています。区の広報として問題があることは明らかであり、動画の差し替えを強く求めました。また、『チ。』という作品世界を誤解させないためにも、適切な対応を求めました。


区側は「意見として承る」と回答しました。



おわりに


『チ。』とのコラボレーションには期待している区民も多いはずです。だからこそ、作品や行政への信頼を損なうことがあってはなりません。板橋区は「誤解を招いた」と言いますが、基礎自治体は人権保障の砦であり、その公的広報は市民の権利や生活に直接かかわるものです。その責任の重さを区には改めて認識してほしいと思います。

 
 
 

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