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志村小学校・志村第四中学校 小中一貫型学校設置に係る意思決定過程について「区長への手紙」質問・回答 全文記録(全3回)

  • 執筆者の写真: 和田 悠(立教大学文学部教育学科教授)
    和田 悠(立教大学文学部教育学科教授)
  • 5 時間前
  • 読了時間: 14分

志村小学校・志村第四中学校の小中一貫型学校建設について、その意思決定過程に関する疑問を板橋区「区長への手紙」制度を通じて問いました。質問の柱は3点です。


①「魅力ある学校づくり協議会」内の異論が教育委員会でどう審議されたのか

②志村小を現地改築した場合の工期6年という数字の根拠は何か

③意思決定プロセスを「適切」と判断した客観的基準は何か


3回にわたるやり取りの結果、区は他自治体事例との比較検討を行っていないこと、現地改築案の費用試算・工期比較を行っていないことを公式に認めました。一方、プロセスの適切性については「総合的に勘案して」という回答が繰り返されるにとどまりました。区は3回目の回答をもって「最終回答」としています。以下はその全文記録です。


 

第1回:質問(2026年1月12日送付)

志村小学校・志村第四中学校小中一貫型学校設置に係る意思決定過程についての見解照会

 

志村小学校・志村第四中学校の小中一貫型学校建設については、すでに事業が進行していることは承知している。しかし、その設置に至る意思決定の経緯については、民主主義および行政手続の観点から重大な疑義があると考え、板橋区および板橋区教育委員会の見解を求めたい。


小中一貫型学校の設置に関する法的な決定権者は板橋区である一方、実質的な意思決定過程において中心的役割を担い、学校設置・改編に関する説明責任を負う主体は教育委員会であると理解している。その意味で、教育委員会の審議が公平・公正かつ十分な情報提供に基づいて行われていることは、教育行政の正当性を支える重要な要件であり、区行政全体としても看過できない問題である。


教育委員会議事録によれば、「魅力ある学校づくり協議会(志村小)」の進捗状況が初めて教育委員会に報告されたのは令和2年2月14日であり、その内容は第3回協議会の報告であった。教育委員会では、この第3回協議会から実質的な協議に入ったとの説明がなされている。


しかし実際には、第1回協議会の段階で小中一貫型学校による整備の方向性が事実上示され、第2回協議会では、その方向性を前提とした検討が行われている。協議会内には異論や留保的意見も存在していたが、こうした議論の実情が教育委員会にどのように整理・報告されたのかについて、議事録上、明確な説明は確認できない。協議会の運営を教育委員会事務局が担っていたことを踏まえると、教育委員会が協議会の実情を十分に把握した上で審議を行っていたのか、疑問が残る。


また、志村第四中学校が検討対象となった理由として、志村小学校を現地改築した場合、工期に約6年を要するとの説明がなされているが、その算定根拠や前提条件、代替案を含む比較検討について、教育委員会の審議の場で具体的な説明や検討が行われた形跡は確認できない。重要な判断根拠とされているにもかかわらず、その内容が審議の前提として扱われている点は、適切であったのか疑問が残る。


以上を踏まえ、①協議会における異論や留保的意見を含む議論の実情を、教育委員会はどのように把握・検証したのか、②志村小学校現地改築に要する工期について、どのような根拠説明と検討が審議において行われたのか、③本件の意思決定過程全体について、区としてどのように認識しているのかについて、見解を求めたい。

 

第1回:区の回答(2026年1月26日付)

和田 悠 様

 

区長への手紙を拝見いたしました。この度は、区の教育行政について、ご意見をいただきありがとうございます。区民の皆様におかれましては、様々な立場から、ご意見やお考えがあることと推察いたします。


ご意見いただきました志村小学校・志村第四中学校 小中一貫型学校設置に係る意思決定過程については、教育委員会の所管となりますので、教育委員会事務局に確認した内容を踏まえお答えいたします。

 

まず、協議会における異論や留保的意見を含む議論の実情を、教育委員会はどのように把握・検証したのかについてご説明いたします。教育委員会においては、協議会の設置や議論の状況等については、「魅力ある学校づくり協議会の進捗状況」や「いたばし魅力ある学校づくりプランの進捗状況」の報告により把握し、必要に応じて質疑・意見等をいただいております。


なお、ご意見いただきました第1回及び第2回協議会に関しましては、令和元年12月26日の教育委員会において、「いたばし魅力ある学校づくりプランの進捗状況について」の議題の中で報告しております。

 

次に、志村小学校現地改築に要する工期について、どのような根拠説明と検討が審議において行われたのかについてご説明いたします。志村小学校現地改築に要する工期については、第1回協議会開催前の令和元年11月6日の教育委員会において、「いたばし魅力ある学校づくりプランの進捗状況について」の議題の中で、擁壁改修の関係もあり、工期は6年間に及ぶという状況であることを説明しております。

 

次に、本件の意思決定過程全体に関する区としての見解についてご説明いたします。これまでに行われた教育委員会における意思決定については、「魅力ある学校づくり協議会の進捗状況」、「いたばし魅力ある学校づくりプランの進捗状況」の報告により、現地改築に伴う課題や対応手法、地域協議における地域意見を踏まえられたものであり、意思決定の過程は適切であると認識しています。区といたしましても、教育委員会の決定を尊重し、改築計画を進めていくことが、子どもたちにとって最善であると考えております。

令和8年1月26日 板橋区長 坂本 健

〔担当:教育委員会事務局新しい学校づくり課学校配置調整第一係 電話3579-2624〕


 

第2回:再質問(2026年1月27日送付)

志村小学校・志村第四中学校小中一貫型学校設置に係る意思決定過程についての再質問

 

2026年1月26日付のご回答をお寄せいただき、ありがとうございました。

その上で、教育委員会議事録および公開資料を精査・照合いたしましたが、本件意思決定過程について、なお確認すべき重要な点が残されていると判断いたしました。以下、再質問させていただきます。

 

第一に、魅力ある学校づくり協議会における異論や留保的意見の取扱いについてです。ご回答では、進捗状況の報告を通じて教育委員会が協議会の状況を把握していたとされています。しかし、議事録を確認する限り、協議会内部に存在した異論や留保的意見が、どのように整理され、教育委員会の審議においてどの程度具体的に共有・反映されたのかは、必ずしも明確ではありません。教育委員会として、これらの意見をどのように把握し、意思決定においてどのように評価されたのかについて、改めてご説明ください。


第二に、志村小学校現地改築に要する工期が約6年とされた点についてです。議事録によれば、擁壁改修を理由として工期が長期化するとの説明はなされていますが、その算定根拠や前提条件、また代替案を含む比較検討が、教育委員会の審議において具体的に示され、検討された経過は、必ずしも読み取れません。工期算定の根拠および、他の選択肢を含めた検討状況についてご説明をお願いいたします。


第三に、本件意思決定過程を「適切」と評価するに至った判断基準についてです。議事録および公開資料を前提とする限り、どのような観点や基準に基づき、当該意思決定過程が適切と判断されたのかは明確ではありません。判断に用いられた評価軸および、それに基づく検討内容についてお示しください。


本件は学校設置という高い公共性を有する行政判断であり、意思決定過程の説明可能性および検証可能性は極めて重要であると考えております。これらは、将来において当該判断の妥当性や適法性を検証する際の基礎となり得る事項でもあります。

議事録に基づく検証を踏まえた上で、真摯かつ具体的な文書によるご回答をお願い申し上げます。

 

第2回:区の回答(2026年2月9日付)

和田 悠 様

 

区長への手紙を拝見いたしました。この度は、区の教育行政について、ご意見をいただきありがとうございます。区民の皆様におかれましては、様々な立場から、ご意見やお考えがあることと推察いたします。


ご意見いただきました志村小学校・志村第四中学校 小中一貫型学校設置に係る意思決定過程については、教育委員会の所管となりますので、教育委員会事務局に確認した内容を踏まえお答えいたします。

 

まず、第一のご質問についてお答えいたします。魅力ある学校づくり協議会(以下:協議会)における異論や留保的意見については、協議会が意見書としてまとめるにあたり議論の過程で生じたものであり、そのような議論を経て協議会としての意見書が教育委員会へ提出されたものと考えております。


教育委員会としては、「魅力ある学校づくり協議会の進捗状況」や「いたばし魅力ある学校づくりプランの進捗状況」の報告により協議会における議論の状況等を把握していたうえで、令和2年11月25日の教育委員会において、協議会から提出された意見書の内容を基に審議を行い、意見書を尊重し、意思決定を行っております。

 

次に、第二のご質問についてお答えいたします。工事期間の算定が6年間に及ぶ検討結果については、令和元年6月の「いたばし魅力ある学校づくりプラン~前期計画第2期対応方針~(以下:対応方針)」においても示されております。対応方針を公表するにあたり、令和元年5月15日の教育委員会に報告しております。


教育委員会の報告においては、対応方針の内容を示すとともに、擁壁調査の結果を基に工事期間が6年間という検討結果であること、子どもの出入り口と工事車両の動線が限られることにより制約が多く安全確保面で課題があること、さらなる工事手法があるかの検討を行っていくことを説明しております。


なお、現地改築以外の選択肢については、令和元年12月26日の教育委員会において、「いたばし魅力ある学校づくりプランの進捗状況について」の議題の中で、第1回協議会にて、仮設校舎の設置場所として志村第四中学校も候補に挙がるのではないかということを示したと報告しております。

 

次に、第三のご質問についてお答えいたします。前回のお答えと重複する部分がございますが、教育委員会は、「魅力ある学校づくり協議会の進捗状況」、「いたばし魅力ある学校づくりプランの進捗状況」の報告により協議の進捗を把握し、協議会から提出された意見書の内容を踏まえ、子どもたちの教育環境を整えていくことを目的に意思決定を行っております。


また、意思決定を行うまでの間に、「いたばし魅力ある学校づくりプランの進捗状況」として、区議会への進捗報告及び説明を行い、ご意見等を伺っております。

以上のことから、教育委員会の意思決定においては、子どもたちの安全や教育環境を整えていく点における学校、地域、保護者、区議会の意見を踏まえ判断したものであり、意思決定過程は適切であると考えています。

令和8年2月9日 板橋区長 坂本 健

〔担当:教育委員会事務局新しい学校づくり課学校配置調整第一係 電話3579-2624〕


 

第3回:再々質問(2026年2月9日送付)

志村小学校・志村第四中学校小中一貫型学校設置に係る意思決定過程についての再々質問

 

令和8年2月9日付の回答を拝受しました。しかし、前回回答は既存の説明を追認する抽象的内容に留まっており、意思決定過程の具体的検証に資するものとは言い難いと考えます。行政判断の透明性および説明責任の観点から、以下3点について改めて具体的な文書回答を求めます。

 

第一に、協議会内の異論の実質的審議についてです。前回回答では「進捗状況報告により議論の状況を把握」とされていますが、事務局報告を受理することと、委員が協議会内の反対意見を材料として主体的に討議することとは本質的に異なります。教育委員会議事録を精査する限り、協議会内の異論が委員間の熟議の対象となった形跡は限定的です。この点について、教育委員会制度の本旨であるレイマン・コントロールが実質的に機能していたかどうか、検証が必要ではないでしょうか。協議会における具体的な反対意見が、教育委員会の審議においてどのように扱われたのか、該当する議事録箇所および検討記録を明示してください。


第二に、工期6年算定の技術的根拠についてです。この数字が結論を「現地改築不可能」へと導く前提として、合理的かつ客観的に導かれたものであったことを確認するため、当時検討された具体的工程表、擁壁調査報告書、および他自治体における狭隘敷地改築事例との比較検討記録の有無を明らかにしてください。また、志村第四中学校活用案について、費用試算や工期比較が行われたのか、行われた場合はその内容を、行われなかった場合はその理由をお示しください。


第三に、プロセス評価の客観的基準についてです。前回回答で示された「子どもの安全」は政策目的としての正当性を示すものであり、合意形成プロセスそのものの正当性を基礎づけるものではありません。本件意思決定において、どのような客観的評価軸・判断基準に基づき当該プロセスを「適切」と評価したのか、具体的に明示してください。

学校設置という公共性の高い事案において、形式的手続きの履践にとどまらず、実質的な民主的妥当性が確保されていたかを問うものです。真摯かつ具体的なご回答を期待いたします。

 

第3回:区の最終回答(2026年2月25日付)

和田 悠 様

 

区長への手紙を拝見いたしました。この度は、区の教育行政について、ご意見をいただきありがとうございます。区民の皆様におかれましては、様々な立場から、ご意見やお考えがあることと推察いたします。


ご意見いただきました志村小学校・志村第四中学校 小中一貫型学校設置に係る意思決定過程については、教育委員会の所管となりますので、教育委員会事務局に確認した内容を踏まえお答えいたします。

 

まず、第一のご質問についてお答えいたします。魅力ある学校づくり協議会(以下:協議会)は、学校関係者、地域関係者、保護者により構成されております。その協議会における議論を経て、協議会としての意見がまとまり、施設整備の方向性や配慮すべき事項も含め意見書として教育委員会へ提出されております。教育委員会としては、令和2年11月25日の教育委員会において、協議会から提出された配慮すべき事項も含まれた意見書の内容を基に審議を行い、意見書を尊重し、意思決定を行っております。

 

次に、第二のご質問についてお答えいたします。当該案件に関する擁壁調査報告書が作成されております。また、同報告書に工程比較表が添付されており、当時検討された工事のスケジュールが記載されています。


他自治体における狭隘敷地改築事例については、条件や課題の個別事情によるところが大きいため、比較検討は行っておりません。


また、現校地以外に仮設校舎を建設した際の費用試算や工期比較は行っております。志村第四中学校の活用については、志村第四中学校に仮設校舎を建設し、志村小学校を現校地に改築した場合、仮設校舎の利用期間や校庭が使えない期間の長期化等による教育環境の課題があったため、志村第四中学校の校地に小中一貫型学校として整備する方向性となったものです。そのため、志村第四中学校に仮設校舎を建設し、志村小学校を現校地に改築した場合の費用試算や工期比較は行っておりません。

 

次に、第三のご質問についてお答えいたします。前回のお答えと同様になりますが、教育委員会は、「魅力ある学校づくり協議会の進捗状況」、「いたばし魅力ある学校づくりプランの進捗状況」の報告により協議の進捗を把握し、意思決定を行うまでの間に、「いたばし魅力ある学校づくりプランの進捗状況」として、区議会への進捗報告及び説明を行い、ご意見等を伺っております。そのうえで、最終的に協議会から提出された意見書の内容を踏まえ、意思決定を行っております。


教育委員会は、意見書の内容について、これまでの区の教育施策の考え方と整合が取れており、学校、子どもたちの負担が少なく、地域、関係者の意見を反映されていること、など総合的に勘案して、子どもたちの安心・安全、教育環境の向上という目的を達することができると判断し、意思決定を行ったものです。また、意思決定までの過程においても、学校関係者、地域関係者、保護者により構成された協議会での議論を行うとともに、区議会への報告も行い、透明性の高い手順を踏んでいることから、適切であると考えています。

 

これまで和田様からは、同趣旨、類似内容のご意見を複数回いただいておりますが、今後、同じご意見をいただきましても、回答が変わることはございません。そのため、大変恐縮ですが、区長への手紙実施要綱 第7条第3項(注1)に基づき、今回をもって本件に関する回答は最後とさせていただきますので、ご了承いただきますようお願い申し上げます。

 

令和8年2月25日 板橋区長 坂本 健

〔担当:教育委員会事務局新しい学校づくり課学校配置調整第一係 電話3579-2624〕

 

(注1):引用「区長への手紙実施要綱(平成27年2月19日区長決定)」第7条(主管課の処理)3 同一の発信者から同趣旨又は類似の内容で繰り返し送付された手紙に対する回答は、原則として3回を限度とする。この場合において3回目の回答に際し、最終回答である旨を明記するものとする。

 

本文書は、板橋区「区長への手紙」制度を通じた質問・回答の全文記録です。

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