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執筆者の写真高野 毅(板橋区小学校教員)

短期集中連載(第1回)|教えて!高野先生 「教育の板橋」の本当のところ

 今日から7回に分けて、板橋区の教育施策にまつわる質問に答えていきます。

 では、さっそく始めましょう。



日本の教育も大きく様変わりしていると言われていますが、板橋の学校が今どんな状況なのか、教えていただけますか?


 現在、板橋第八小で非常勤教員をしています。「教育改革」が叫ばれて以来、それまで大事にされてきたものがだんだん見向きされなくなってきて、非常に息苦しくなってきているというのが、率直な感想です。板橋区は2014年に全国学力調査の平均点が東京23区で最下位になったり、2017年には板橋区の就学援助受給率と生活保護受給率が共に全国平均の倍以上となって毎日新聞で報道されるなど子どもの学習環境や生活の困難が浮き彫りになりました。そんななかで私が感じるのは、じっくり地に足をつけて子どもに向き合うべきなのに、あまりにも新しい教育課題につぎつぎに飛びついていてほんとうに大切なものを見失っているのではないかということです。





 板橋区の小中学校の現状で言うと、気になるのは子どもの暴力です。文科省で児童生徒の問題行動について毎年実態調査をしているのですが、小学校の暴力行為が急速に伸びています。なぜそうなっているのかしっかり分析する必要がありますが、頭に浮かぶのは高学年で授業が成り立たなくて、反抗に及んだり、教室を飛び出したり、それがエスカレートして先生に暴力行為をするということがあります。これが低学年から増えています。中学校は高止まりの傾向ですが、暴力行為のように数字に出てこなくても子どもたちが授業中騒いでいたり、先生の指示に従わない、という声はよく耳にしています。区内にも、そういう学校がかなりあります。何よりも「授業が楽しくない」、頭ごなしに「スタンダード」というきまりを押しつけたり、子どもたちを叱りつけ、子どもたちも納得がいかないので反発します。学級が崩れてしまった子どもたちの言い分を聞くと、このようなことがたくさん出てきます。


 いじめの認知件数は、小学校でうなぎ上りで、中学校も増えています。子ども同士の人間関係のつまづきはあるかなと思います。小中一貫教育についてよく板橋区教育委員会がいうのは、小学校から中学校に上がる時の中一ギャップ、中学1年生からいじめが増えると言っているが、この数値を見る限り、すでに小学校でこういう状況になっていて、中一ギャップとしていじめの存在があるといっているのは根拠があるのかなと非常に疑問に思います。


 不登校も増えています。小学校も中学校も増えていて、板橋区は他区、都、国と比較して、不登校の出現が高いことが言われています。子どもたちの学校の中での居場所が作られていないのが大きな問題ではないか、授業でも子どもたちが自分の存在を感じられないのではないかと思います。


 「板橋区子ども若者計画2021」という冊子を地域教育力推進課が作っているのですが、卒業する時の進路の未決定者も多く、中途退学者の問題、都立高校に通っている生徒の自己有用感が低い生徒が31%存在する、若者の完全失業率が高いなど板橋区の青年期教育にも大きな課題があります。



 

高野 毅 先生のプロフィール


定年退職後も引き続き非常勤講師として板橋区の小学校で教える。教師の働き方改革や教員の職場での仲間づくりもライフワークで、教職員組合運動を大切にし、そこでも活躍をしている。「志村小がなくなる?小中一貫校問題を考える会」のメンバー。

 


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