現在、志村小学校・志村第四中学校の小中一貫型学校の改築についての説明会が開かれています。
2022年5月に志村小学校・志村第四中学校 小中一貫型学校改築計画 基本構想・基本計画報告書(案)がまとまったのを受けての地域説明会です。「基本構想・基本計画」とは、改築事業における設計、工事を進めていく上での基本的な考えや指針のことです。「基本設計」に入る前の段階で、住民に対して説明会を開き、住民の意見を基本設計に反映させようという狙いで板橋区教育委員会は開催しています。
しかし、6月13日の志村小学校の体育館での説明会では、基本設計以前のところで参加者から多くの疑問の声が上がりました。どう考えても、志村小と志村四中を一緒にするのは無理な計画ではないか、今よりも子どもの教育環境が悪化する計画をなぜ進めるのか、この計画に反対する住民がいるなかで計画を強行していいのか、そもそも地域住民への合意は取ったと言えるのか、などの質問が相次ぎました。 小中一貫型学校にするメリットを具体的に聴く住民の方もおられました。それに対して教育委員会の側は「思いやりの心」が育つと言った心理的な面を強調して返答していましたが、それでは、今後も小中一貫型学校を整備していくのかとの質問には「その予定はない」との返答で、教育委員会の本心がどこにあるのか、見えませんでした。とりあえずアリバイ的に一校つくっておく、そういう印象を参加者に感じさせる対応でした。 板橋区教育委員会は、「魅力ある学校づくり協議会(志村小・志村四中)」「志村小・志村四中 小中一貫型学校設置検討会」で地域の住民の声は反映していると言います。しかし、協議会及び検討会の会則を見ると、「事務局は、教育委員会事務局各課とする」とあり、協議会及び検討会の所務は、「教育委員会事務局新しい学校づくり課及び学校配置調整担当課において処理する」とあります。
協議会も検討会も、教育委員会のお膳立てで動いていることがわかります。 組織の構成を見ると、教育委員会の事務局次長が入っています。教育委員会のトップの教育長と学校長の関係を考えれば、学校長が協議会や検討会のなかで、教育委員会の方針に異論を唱えたくても、それをするのは難しいと思われます。 行政にとって都合のいい住民の利用は、自治を骨抜きにしてしまいます。教育委員会と意見が違う者だからこそ、教育委員会と議論ができるのであり、議論ができることでより良いものが生まれます。
委員を広く公募しても良かったと思います。学識枠を設けることや、委員の男女比を考えることも、より良い小中一貫型学校を作るのに必要だったのではないでしょうか。実際にPTA会長が、協議会及び検討会の委員をしていますが、志村小及び志村四中の保護者のこの問題に対する見方や考え方を代弁しているわけではありません。 ちなみに、2021年12月に、志村第四中学校及び志村小学校の児童・保護者、生徒、教職員を中心に、区立志村小・志村第四中学校の改築に関するアンケートを実施していますが、回収率は残念ながら、32.1パーセントです。この結果からは、保護者や地域住民は、必ずしも志村小と志村四中の小中一貫型学校の建設を心から歓迎していない、前向きではないことがわかります。
教育委員会は誰のために、何のために、この計画を推し進めているのでしょうか? それが見えないから、説明会での共感と納得が得られないのだと思います。それが見えない以上、志村小は志村小のままで、志村四中は志村四中のままで教育環境を整備してほしいと思うのは当然のことではないでしょうか? 教育委員会は、粛々と計画を押し進めようとしています。手続き的には合法かもしれませんが、正当性がないことが、今回の説明会でも明らかになってしまいました。世界情勢の変化で建設費も高騰を余儀なくされます。最初の計画通りではいかなくなっています。 教育委員会には一旦立ち止まって計画を見直してほしいと思います。その勇気が子どもの幸福度を高めることにもなるのではないでしょうか?
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