"噂の!東京マガジン" は大山のアーケード解体計画を用地買収計画と見抜いた


 2月6日(日曜日)の13時から、BS-TBSでオンエアされた「噂の!東京マガジン」を見ました。普段は「テレビを見ない派」の私ですが、録画予約もしました。

 大山の話は20分程度でしたが、内容はとても濃く、事実に迫っていく取材班の追求力のを感じました。


 

まず、番組冒頭でのハッピーロード大山商店の説明がありました。

 

ナレーション

 「昭和の雰囲気が残るハッピーロード大山。全長は560メートル。都内でも有数のアーケード商店街です。およそ160ある店舗は、毎日の食卓を支える生鮮食品をはじめ、安くて品ぞろえ豊富。若い人たちにも人気です。


 戦後に生まれた大山駅前の商店街にアーケードができたのは昭和53年。電車で6分のサンシャインシティーのオープンに危機感を覚え、2つの商店街が団結し、アーケードを設置。 現在も一日3万人の買い物客が訪れます。」


 

 アーケード商店街の一番のメリットは、「傘なしで買い物できる」点です。VTRに登場した買い物客も口々に全天候型商店街の良さを語っていました。


 ところが、道路を作るための用地買収はまだ42%(東京都調べ)しか進んでいないのに、さっさとアーケードを壊したい人たちがいるんです。

 右の図を見てください。赤線は全長560メートルのハッピーロード大山商店街。そして、青線はなんと今から76年前(1946年)に計画された補助26号線。これができたら商店街は真っ二つにぶった斬られます。周辺住民の生活は激変を避けられないでしょう。


元理事長の大野氏(左)と元専務理事の石田氏(右)
元理事長の大野さん

 アーケードの解体工事計画スケジュールを出してきたのは、ハッピーロード大山商店街振興組合(会員数およそ200名)で、それに反対の声を上げているのは、商店街振興組合の元理事長(大野さん)と前専務理事(石田さん)。



 前専務理事の石田さんは、商店街の「まちづくり委員長」として、まちづくりを通じた商店街活性化に、10数年間取り組んできました。だからこそ、今回の活性化に逆行する「アーケード早期解体計画」に、断固反対しているとのことでした。



 

石田栄二

この商店街のアーケードが180m壊されてしまう。それは街と商店街の活性化にはならないと思うんです。

元専務理事の石田さん
元専務理事の石田さん

 去年総会などで配布されたまちづくり工程表を見たら、解体工事と書いてあった。


 計画はあくまでも目標ですが、こういったことが商店街の説明会で話された。道路が通る時にはアーケードを壊してください、という話になっているけれども道路建設がまだ10年先、20年先、30年先なのに、何でここ2〜3年で壊すのか。全く理解できないです。


 私は去年の5月に専務理事を辞めて、街と商店街の活性化にならないアーケードの早期解体について反対しています。


 

 補助26号線は、事業認可から6年が経過しましたが、用地買収率はまだ42%(東京都調べ)です。そして、完成予定は2020から2025年後に延期されました。それでもアーケードを早期に解体しようとする理由を石田さんが予測してくれました。

 

石田栄二

 あくまでも推測です。私が不動産をやっている関係もありますが、例えばアーケードがなくなると、商店街が分断されてしまう。環境が悪くなるんですよ。暗くなります。雨や雪が入ってきます。そうするとお店の方は魅力の無くなった商店街を出ていく可能性がある。また、商業環境の悪化に伴いテナントさんから「家賃を下げてくれ」という話が出ます。オーナーさんとしては、「もうしょうがないな」と、東京都の道路用地買収に応じざるを得なくなリます。つまり、道路計画を推進させる環境が生まれる可能性があるということです。


 

不動産鑑定士の見解も出ていました。

 

不動産鑑定士

 アーケードを取り払った部分には買い物客が入らなくなり、商業収益が落ちる可能性があります。商業地は商業収益によって地価が形成されるので、もし収益力が落ちれば、当然、地価も落ちます。

 オーナーは、固定資産税も払わなければいけませんし、当然、一定の賃料を得られる見込みがないなら、それを手放さざるを得なくなると考えられます。





 

アーケードの解体について、商店街の人たちがインタビューを受けていました。

 

笑福亭笑瓶: もしかすると、今年のうちにアーケードを180メートルにわたって解体するおそれがあるみたいなんです。

商店街店主A: 私、初めて聞きました。そうですか、あるんですね。

笑福亭笑瓶: あなたは組合員ですよね。

商店街店主A: もちろんです。でも情報がぜんぜん来ない。アーケードが無くなってお客さんの流れが変わってしまったりとか、何が起こるかわからない不安があります。大反対です。


商店街店主B: 全然話を知らないし、部分的にアーケードを取り壊そうって言い出した人が誰かも知らないし。

笑福亭笑瓶: そういう情報も入って来てない?

商店街店主B: 入ってきてないです。商店街の情報として月に一回くらい情報誌みたいなものは来ますけどそれにも載ってない。


笑福亭笑瓶: 解体されるって知ってました?

商店街店主C: 僕も聞いてびっくりしているんですよ。コロナ禍になって、今計画をどんどん進めていくのはどうかなと思うんですが、やっぱり今ちょっと立ち止まって考えるべきじゃないかと思うんですよ。すごく将来に対して不安なんですよね。


店舗を貸している大家さん: アーケードがあることでお客さんに来ていただけますし、お店としての価値も上がっているんです。アーケードがなくなったら、テナントさんから家賃交渉とか色々出てきますので、そういう面でも私たちの生活を守るためには、是が非でもアーケードを残していただきたいというのが私の気持ちです。


 

そして、商店街の買い物客にもマイクが向けられました。

 

買い物客D : アーケードが無くなったら困る。傘さして荷物持っての買い物は大変。お店に入ろうとすると傘を閉じて入らなけりゃならないじゃない。そういうのは煩わしい。もう絶対反対する。

買い物客D : アーケードが無くなったらここの魅力何も無くなってしまう。だって傘もささずに買い物ができるこんないいとこないですよ。なんでそんなことするんだろうね。


 

ここで、森本さんがものすごく簡潔にわかりやすく、大事なポイントをスコーンと言ってくれました。

 

森本毅郎

 おそらく、理事の中にはあそこに道路が来て、道路だけではなく駅周辺の再開発、そういうものがどんどんこれから進んでいく方がいいと考える委員もいるんですよ、おそらくね。推測ですけれども。だからそうなると、なるべく早く道路があそこに付いた方がいいと。だからね、これはね、アーケード問題じゃなくて土地買収問題だと思いますね。

 

 

 取材班が、商店街振興組合の理事長にインタビューによる取材を申し込んだところ、会ってもらえず、回答は書面で送られてきました。

 

Q. 「アーケードの解体は2022年に行われるのでしょうか?」 A. 組合員様にできるだけ丁寧なご説明を行ない、皆様に承認していただいた後、スケジュールの最終調整を行いますとの回答。


Q. 「早期解体したい理由は?」

A. 東京都からアーケード解体等に要する費用は補償をしていただける。ただし、先に延ばせば延ばすほどアーケードの価値が下がり、補償額が減少するという現実があり、難しい判断が必要になるとの回答。



 

 現在商店街組合の理事を務めている方が、アーケード解体に関する組合内部の動きを、バラしていました。

 

笑福亭笑瓶: 先んじて解体することを決めようとしているみたいなんですけど、その経緯をご存知ですか?

振興組合理事: いや、私はわからないです。

笑福亭笑瓶: どこがどういう風に決めていると思われますか。

振興組合理事: 東京都と長年やった、ちょっと名前言ったらアレですけど、理事長関係者とか上の方の人たちですよね。ここも道路計画があるからね、いつかはそうなるだろうけど、30〜40年は大丈夫だろうということだったんです。そうじゃなくて急にここのところそういう働きかけがあるので、理事をやっていながらちょっと嫌だ。すごく嫌な感じ。

笑福亭笑瓶: 理事の中でも、とにかく聞かされていない状況で事を運んでいると思っていいですか。

振興組合理事: そうですね。


 

長年アーケード商店街を利用してきた地元住民の声も聞いています。

 

地元住民E: アーケードがあるから商店街も結構お客さんが多いし、便利だし。アーケードが3分の1になっちゃったらお客さんは来ない。商店街はなくなっちゃうでしょうね。それはちょっと残念っていうか困りますよ。我々のわからないところで、どんどんどんどん、私たちに不利なような感じで進んでいくので、そのたんびに振り回されてるんですね。落ち着きません。


 

補償額が下がるという商店街振興組合の話、どう思います?

 

森本毅郎: 先に延ばせば延ばすほど、アーケードそのものの価値が下がっちゃう。古くなって。そうすると補償額も下がっちゃうから、なるべく早く高いお金をもらった方がいいよな、という考え方ですね。いつ出来たんだっけ。

笑福亭笑瓶: 昭和43年、もう古いわな相当。キレイにはしていますが改修もしているということで44年。

森本毅郎: そうするとこれから何年間か後になったからって、もうそんなに値段変わらないんじゃないのかなと思いますけどねえ。


 

取材班はアーケードの解体について東京都にも聞きました。東京都から商店街に要望や指示を出したことはあるのかと。しかし、東京都としては「双方合意のもと、物件移転補償契約を締結させていただいた上で、当該契約で定められた移転期限までにアーケードを解体していただくことになる旨をお伝えしてきています。」としか答えません。

 

森本毅郎: だから言ってみれば、道路計画がいつかということを決めて、それに基づいてやりましょう、というものでしょう。これはアーケードの話なんですよ。アーケードの屋根を取り払うためには、早めに取り払った方がいいよ、という話になんだけれども、その先がやっぱりあるんです。取り払ったら商店街は分断されるし、屋根がないところにはお客さんが集まりにくい、という現実が来るってことはみんなわかってるわけですよ。


清水国明: 用地買収がしやすくなる、ということですね。

森本毅郎: せこいね。姑息な手段だけど、でも頭がいい手段です。

笑福亭笑瓶: 取材をさせていただいて、一番その商店街を長年にわたって地域の方々が利用して、地域の方々が買い物しやすい状況の中で、これが高齢者にはアーケードがある方がいいでしょうし、買い物しやすいところなのに、それがなくなるのはいかがかなと思いました。


森本毅郎: やっぱり駅前の開発って大体そういう形になって、街の姿がもう一変して、今まで本当に暮らしやすいなと思っていた人たちの気持ちはどこかに飛ばして新しく開発していくっていう、別のものができてくるというのが一つの流れだなあ。


笑福亭笑瓶: 先を考えれば、やっぱり高齢者にやさしいまちづくりをどこかで考えてやっていただきたいなと思う、噂の現場でした。



ということで、放送は想像以上にヘヴィな内容で驚きました。問題点をまとめます。


・アーケード解体問題は、実は用地買収問題だった。

・用地買収はまだ42%しか済んでいないので、急いでアーケードを壊す合理的な理由は見つからない。

・商店街振興組合は組合員の合意形成のプロセスをすっ飛ばしている。理事でさえ事の経緯を知らない。

さて、この先ハッピーロード大山商店街は、どうなっていくのでしょう?今後も関係者の動きを追っていきたいと思います。