区議会の論点:板橘区で「脱原発都市宣言」を行いたい

 私たちの暮らしに密接に結びついている区政。板橋区議会ではどんな議論がなされているのか。その議論からは私たちの暮らしの問題点が浮かび上がります。区議会の論戦をここに採録し、板橋区の諸問題を眺めていきます。

<脱原発特集 第1弾> まもなく東日本大震災から10年目の3月11日を迎えます。あの頃の議論を振り返りましょう。


 2011年9月30日 第3回定例会の一般質問で、民主党の中妻じょうた議員が9月23日に高島平で行われたさよなら原発ウォーク@板橋の話題に触れつつ、坂本健区長に対して、板橋が「脱原発」を宣言すべきであると働きかけていました。


中妻じょうた議員:

 東日本大震災に伴う福島第一原発の事故という未曾有の事態に対して、板橋区も電力消費地として、また福島で苦悩する自治体の仲間として、原発の問題に対して態度を明確にする必要があると考えております。


 福島では多くの方が避難を余儀なくされており、板橋区でもたくさんの福島の方を受け入れています。故郷を捨てなければならない、生きているうちに故郷の土を踏めるかどうかわからない。それはどれほど無念なことでありましょうか。福島第一原発で生産される電気を私たち板橋区民も使ってきました。その責任において、これからも原発の電気を使い続けることをよしとするのかどうか、答えを出す必要があるのではないでしょうか。


 原発の安全神話が幻想であったことは、既に万人の目に明らかになっております。事故を起こした福島第一原発の原子炉「マークワン」を設計したGEの元技術者デール・ブライデンボー氏は、「週刊現代」のインタビュー記事で、このように述べています。「エンジニアを長い問やってきた経験から言えば、100%安全な原発などつくれるはずがないのだ」と。原発の安全な運用はさらに困難です。原発における被曝労働の問題は、かねてから指摘されております。ねじ1本を締めるのでも、何人もの職員が並んで高濃度の放射能がある施設内を駆けていってねじを締めて、またすぐに戻る必要がある。すぐに1日の被曝量の上限に達してしまいます。そして、次の職員に交代して、また同じねじを締めてまた戻る。これを繰り返さなければ、ねじ1本絞められないのです。こんな状況でどうして安全な運用ができるのでしょうか。また、そうして日々被曝し続けてきた職員の人権はどうなっているのでしょうか。


 放射性物質の最終処理の問題もあります。原発はトイレのないマンションだと比喩されます。現代の科学レベルでは、高い放射能を出し続けるごみをどうすることもできないのです。原発反対の声を上げ続けてきた佐藤栄佐久・前福島県知事は、ご講演でこのようなことをおっしゃっておりました。


 昨年8月に、佐藤雄平・現福島県知事と福島県議会は条件付きでプルサーマルの受け入れを認めた。使用済み核燃料の再処理工場を一緒につくるというのが条件だった。しかし、県議会がオーケーしたわずか3日後に原燃は再処理工場の操業延期を発表した。経済産業省は、もうすぐ県がオーケーを出すから待てと原燃を待たせ、県議会がオーケーした途端に延期を発表させた。そして、その後、18回も再処理工場操業の延期を続けてきた。このような話を伺いました。再処理工場をつくることはできないと自分でわかっていて方便を使っていると疑われても仕方がありません。


 まとめますと、現代の技術レベルでは、人間性を否定せずに原発を運用することは不可能である。これが結論であることは、もはや議論の余地がないと私は考えております。


 しかし、一部の方々は、これほど明々白々な現実を見て、なおいまだに原発が必要だと訴えております。主張の1つは、原発がなければ電力需要に対応できないというものです。しかし、私はそんなことはないと思っております。


 2003年、東電のトラブル隠しに端を発するメンテナンスのために、東電の原子炉全17基すべてが停止しました。しかし、そのときには計画停電も節電を強制することもなく乗り切っています。しかし今年、政府は37年ぶりに電力使用制限令を発動しました。そして、9月12日までの間、被災地にまで節電を強制してきたのです。


 経済産業省の関係者から、こんな発言を聞く機会がありました。「このような電力制限に国民がずっと我慢できると思いますか?」。必要性の疑わしい電力制限を自分たちでしておいて、これはどういう意図なのでしょうか。電力使用制限令で国民を締め上げて、原発必要論を喚起しようとでもいう腹づもりだったのでしょうか。


 この電力使用制限令によって、板橋区民の皆様にも大変ご不便をおかけしてきましたが、皆様の忍耐によって、大きな混乱もなく、この夏を乗り切りました。国民の皆様は既に脱原発に向けての覚悟はできていると、私は確信をしております。


 もう一つ、原発が必要であるとする論拠があります。石破茂・元防衛大臣は、テレビ番組でこのような趣旨の発言をしています。「原発をなくすべきだという意見には賛成しない。原発があることによって、日本は核兵器を1年以内につくれるという事実が1つの抑止力になる」というものです。開いた口がふさがりません。広島・長崎の惨状や非核三原則、そしてまた世界的な核軍縮の流れをどう考えているのでしょうか。念のため申し添えておきますが、核抑止力とは相互確証破壊によって担保されるのであって、1年かけて核兵器がつくれるなどという状態は核抑止力になどなり得ません。


 1954年に中曽根康弘・当時衆議院議員が提出した原子力予算案が日本に原子力発電をもたらしました。当時冷戦下にあった状況をかんがみますと、米国の再軍備要請に応える形で、将来的な核武装を念頭に置いて原発を推進したのではないかということも疑われます。もし原発を推進してきた理由がこれであるなら、原発の存在が板橋区平和都市宣言に反しているのは明白ではありませんか。板橋区平和都市宣言の崇高な理念にのっとり、そんな核武装の意図が乗った原発はもう要らないと明確に態度を打ち出すべきではないでしょうか。区長は原発に対してどのようなお考えをお持ちでしょうか。お答えください。


 さて、板橋区として脱原発を後押しするために、国や東電に意見書を提出するという方法もありましょう。それもぜひやった方がよいと思います。しかし、脱原発とは1つの恒久的な理念になり得るものであると考えます。


 板橋区は原発に賛成しないと、将来にわたって明快に宣言する必要があるのではないでしょうか。板橋区は原発を支持しない。たとえ時間がかかったとしても、すべての原発を廃棄するまで必要な努力を行う。また、脱原発を実現するために需要と供給の両面から努力を行う。すなわち、代わりとなるエネルギー、あえて再生可能エネルギーとは申しません。あらゆる代替エネルギーの検討及び省エネルギーのための努力を行っていく。このような趣旨の「脱原発都市宣言」を板橋区で宣言すべきだと考えます。


 世間を見渡しますと、民間企業である城南信用金庫が、いち早く脱原発宣言を行っております。一企業にできて、自治体にできないはずはありません。9月19日には明治公園において「さようなら原発5万人集会」が開催され、主催者発表で6万人が参加したとのことです。


 そして9月23日には、高島平でも「さよなら原発ウォーク@板橋」が開催され、私も参加をさせていただきまして、主催者発表で370人が参加をいたしました。そして、9月26日には、静岡県牧之原市議会で浜岡原発の永久停止が決議されました。脱原発は既に世の趨勢です。原発はもう要らない。これこそが普通の感覚です。脱原発こそが普通の感覚なんだということを大きく訴えていくことが何より必要です。


 ぜひ板橘区で「脱原発都市宣言」を行って、坂本健区長の名を地方行政史に燦然と輝かせていただきたいと考えます。このような名誉ある決断を行う考えはございませんでしょうか。お答えください。


坂本健区長:

 最初に、原発に対する区長としての考え方についてのご質問であります。

 原子力発電につきましては、二酸化炭素の排出が少ないなどのメリットがある一方において、ひとたび事故が発生いたしますと、放射性物質の放出によって発電所周辺はもとより、広範囲への長期の放射能汚染が避けられないものとなると認識をしております。


 次に、脱原発都市宣言に対する区の考え方についてのご質問であります。

 再生可能エネルギーや化石エネルギーは自然や経済の影響による不安定性がありまして、停電や電気料金の高騰による日本経済や国民生活への影響を考慮いたしますと、区が脱原発宣言を行い、原子力発電以外のエネルギーだけに依存していくことは困難であると考えております。


 板橋区では、環境への配慮、また、原子力発電所の事故の深刻さを考慮し、可能な限り原発に依存しない、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入を今後とも引き続き推進をしていきたいと考えております。



◆参考資料


「核の潜在的抑止力」のために原発維持をと石破茂自民党政調会長  潜在的抑止力達成は2050年以降の高速増殖炉の商業利用待ち?

 http://kakujoho.net/npp/ishiba.html


 日米原子力協定と 日本の原子力政策の歴史的経緯

 http://jsa-fukuoka.sakura.ne.jp/shiryo/isa20170617.pdf

 

 非核三原則

 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaku/gensoku/index.html


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