区議会の論点:板橋の「子どもの読書活動推進計画」に取り入れて欲しい3つの視点

 私たちの暮らしに密接に結びついている区政。板橋区議会ではどんな議論がなされているのか。その議論からは私たちの暮らしの問題点が浮かび上がります。区議会の論戦をここに採録し、板橋区の諸問題を眺めていきます(毎週火曜日連載)。

 2021年1月21日に開かれた文教児童委員会で、自民党の山田貴之議員が「板橋区子ども読書活動推進計画2025」の素案について質問と提案をしていました。

 

文部科学省の資料 を見ると、子どもの読書に関する主な課題が2つあります。

  • 小中学生の不読率(1ヶ月に1度も本を読まない子どもの割合)は長期的には改善傾向にある。高校生の不読率は依然として高い

  • どの世代も目標とした進度での改善は図られていない

1ヶ月間の平均読書冊数 全国学校図書館協議会による調査結果
1ヶ月間の平均読書冊数 全国学校図書館協議会による調査結果

 では、山田議員と中央図書館長とのやりとりをお読みください。


① 作家さんや司書さん、そしてパブリックコメントの意見を取り入れて企画をプロデュースして欲しい


山田貴之議員:  検討委員会のメンバーの構成を拝見しているんですけれども、読書活動を推進していくという中で、私は検討委員会のメンバーに、学識経験者の中に入っているのかあれですけれども、作家、本を作っている作家、絵本作家あるいは小説家、いろいろ作家いますけれども、作家の方というのにやっぱり入っていただく必要があるんじゃないか。出来上がったものを、ただどう扱うかということじゃなくて、作家の思いみたいなことを知ってもらうにはどうしたらいいかとか、何か違う視点からの意見というのが、コロナ禍で結構閉塞感のある状況の中で、いろいろいい知見を教えてくれるのではないかというふうに思うんですがいかがでしょうか。

中央図書館長  なかなか作家さん自身のお話を直接聞く機会というのは限られているというところではありますので、こういった場面では有益なご意見をいただけるのかと。実は、今回の委員会の委員長をお務めの学識経験者の方も、ご自身が絵本の作家の実績もおありの方 ( 片岡輝 東京家政大学名誉教授 )なので、そういったところももしかしたら踏まえて、ご意見とかもいただいていたんじゃないかとは思っております。ただ、構成の中でそういった位置づけというのも、検討ができるのではないかと思います。


第三期板橋子ども読書活動推進計画検討委員会 委員名簿
第三期板橋子ども読書活動推進計画検討委員会 委員名簿

山田貴之議員:  委員長さんが作家さんのお立場からもいろいろ意見を言ってくださるということですけれども、今後もいろいろな検討をしていく中で、ぜひ作家さんなんかも交えて、協力していただければと思うんですけれども、例えば板橋区には、板橋区のペンクラブみたいな作家の協会みたいなものはあるんでしょうか。あるいは板橋区には、何か高名な賞、この間芥川賞と直木賞の受賞の発表がありましたけれども、受賞者の方が住んでいるかとかということを、板橋区としては情報として持っていますでしょうかということを教えてください。

中央図書館長  絵本作家、翻訳作家さんの中で、そういった賞を受賞された方が、区内でお住まいの方、ということで把握しました。そういったところで、新しい図書館の経営の中でも生かしていければ、いい企画が提供できればと今考えておるところでございます。  また、絵本の協会のような、そういった組織立った活動は、区単位ではございません。例えば学会であるだとか、絵本学会のようなそういった学術活動の中で、そういった組織化みたいなのはあるとは伺っていますが、そういったところに問い合わせた中では、板橋区ではそういった該当はございませんでした。

山田貴之議員:  板橋区の計画だと、新しく中央図書館もできるので、中央図書館というのがかなり大きなウエートを占めるような計画内容になっているのかと思うんですけれども、図書館と作家というと、作家さんの売上げが図書館によって減ってしまうところもあるので、相対するところもあるかとは思うんですけれども、様々な子どもを取り巻く環境や大人を取り巻く環境もそうですけれども、エンターテインメントが様々ある中で、読書というものを選択してもらうには、それなりにチームというか、地域全体で読書が楽しいというふうな盛り上がりを見せないといけないと思うんです。そういう中で、やっぱり作り手側の話をしっかり聞いて、そこにちょっとコミットしていくということも大事なんじゃないかというふうに思いましたので、ぜひ検討を進めていただければというふうに思います。

 それと、私委員としてもちょっと参加しているので、その中でいろいろ意見は申し上げましたけれども、改めてやはり検討会に出ている委員、かなり司書さんからもいい意見をお話しいただきましたし、そういう中で議論も活発に行われたと思いますので、ぜひ素案、これからパブリックコメントも取ると思いますが、多くの方の意見を柔軟に取り入れて進めていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

中央図書館長  検討委員会の中では、様々な立場からご意見はいただきました。また、これを踏まえて実施されますパブリックコメントでも、今までご意見があったような電子図書館であるだとか、幅広いご意見があろうかと思います。取り入れるものは、新たな事業としてでも取り入れて、原案というものにつなげていきたいと考えております。ありがとうございます。


②「全ての子ども」への行き届いた支援を実現したい

山田貴之議員:  あと、ところどころやっぱり全ての子どもがという、全てということが出てくるんです。それは皆さんに読書の機会を等しく与えていきたいということだと思うんですけれども、そういう中で、やっぱり少し気になるのは、37ページにあります特別支援を必要とする子どもたちへの取組ということで、少し考察が甘いんじゃないかというふうに思います。


特別支援を必要とする子どもたちへの取組
特別支援を必要とする子どもたちへの取組 37ページ

 特別な支援を必要とする子どもというのは、障がい者ということを、障がい児ということを意図されていると思うんですけれども、例えばマイノリティーという意味合いで言えば、言語が、お母さん、お父さんが中国人とか、違う外国の方ということも板橋区内でも増えていますし、そういう方のサポートみたいなところの配慮も必要ですし、全般的には障がいを持ったお子さんもそうでないお子さんも、例えば中学生を対象とした取組の中に入ってくるところはあるかと思うんですけれども、でも特別なハンディキャップを、例えば持った方だからこそ手に触れて読んでほしいような本も、希望や夢を与えられるようなことができる本みたいなものの提供というような事業とか、何かもう少しここの部分はどんなことができれば、全ての子どもたちが読書を通して夢を描きとか、希望を持ってというような状態になれるかということを、やっぱり考えていってほしいというふうに期待するところなんですけれども、いかがでしょうか。

中央図書館長  そうですね、ご指摘の37ページのところであるようなところで、絵本によるきっかけのようなものも示しております。特に幼少期の部分では、布絵本であるだとか、触れることで刺激があるような作品であるだとか資料の充実、あるいは元は視聴覚に障がいがある方のサービスではあるんですけれども、音声の、デジタル音声で読書をする、そういった要は文章を読むとかというのではない形でのアプローチであるだとか、そういった様々なツールであるだとか資料がありますので、そういったところをうまくつなげていく、示していくといったところも、一端としてあろうかと思います。

 全ての子どもたちにというのは、SDGsの考え方でもあるし、これから読書を進めていく上で、電子書籍が普及していく中で、そこに届かない方々もいるわけで、そういったところを捉えていく上でも、大切な視点だと思って進めていきたいとは考えています。


③ 図書館事業に、余白のある臨機応変な運用を求めたい

山田貴之議員:  ぜひお願いします。  それと、やっぱりデジタル化が急速に進んでいく状況の中で、先を見通して、またコロナの状況がどこまで、どう続くのか分からない中で、先の計画を立てていくわけです。そうした中で、やっぱり途中での再検討ということも必要ですし、あるいは多少計画に余白を残して、その余白をうまく使って、図書館の在り方を考えていけるような、それは行政だけが考えるのではなくて、やっぱり利用者が図書館を中心に、新たに場所が移りますので、生まれる中で、利用者とともに図書館の在り方や方向性を考えていけるような余白を残して、その余白を大事に運営していくことが、これからの図書館事業には求められているのではないかというふうに思います。


 従来どおりの、要は館ですね、動かない、建物としての図書館というよりは、常に何か動いていて、輪郭がぼやけていてよく分からないぐらいの、それぐらいの図書館であっていいと思うし、私も図書館の計画が上がったときに、とにかく図書館は板橋区の文化の中心であるし、創造の場としてもそうだし、発信する力強い施設ができるわけで、本来わくわくする事業なんです。その事業を、計画というところで落とし込むと、どこかやっぱり行政的な計画に落とし込まなければいけないので、理解をするところであるんですけれども、図書館事業というのは、そういう豊かな広がりがある事業で、それを中心に子どもの読書活動推進計画というのも、やっぱり考えて、大いにそこに寄せる形でというか、フィットする形でつくっていっていただきたいというふうに思います。ぜひ多くの方の意見を取り入れて、計画をつくっていただきたいというふうに思います。



山田貴之議員の提案は行政にとっては相当難易度の高いものですが、ぜひハードルを超えていって欲しいです。期待しています。

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