区議会の論点:マイナンバーカード申請激増をどう乗り切るか
私たちの暮らしに密接に結びついている区政。板橋区議会ではどんな議論がなされているのか。その議論からは私たちの暮らしの問題点が浮かび上がります。区議会の論戦をここに採録し、板橋区の諸問題を眺めていきます(毎週火曜日連載)。
2020年11月10日に開催された区民環境委員会で、公明党の田中いさお議員と共産党の吉田豊明議員がマイナンバーについて質問していました。

申請者が多くてカードの受け取りに2ヶ月半から3ヶ月もかかる
委員長: 個人番号カード申請件数増大に対応する交付計画についてを議題といたします。 本件について、理事者より追加の説明はありますでしょうか。

戸籍住民課長: こちらにつきましては、マイナンバーカードの申請状況が、特別定額給付金の申請にマイナンバーカードが活用されたことの影響が大きく、5月以降、カードの申請件数が急増しておりました。このため、カードをお渡しするまでの時間が大変伸びておりまして、これらを解消するために、10月27日から901会議室をマイナンバーカード交付専用の窓口として開始したことを報告するものでございます。
901会議室を専用の窓口としたほかに、8月から休日の開庁日を2日から5日程度行っておりましたが、それを継続するとともに、あと今週の木曜日より、夜間の時間帯にカード交付専用として時間延長する予定でございまして、7時半まで、木曜日の夜間帯にカードの交付の延長をする予定でございます。

これによりまして、1か月当たりの交付枚数を8,000枚から9,000枚といたしまして、1月末までにカードの待機日を解消したいというふうに考えているところでございます。
それから一方で、総務省よりマイナンバーカードの未取得者へのQRコードつきの申請書が再度送付される計画がございまして、これが12月末から3月までという、非常に短期間で発送されるというような計画がございます。このため、また短期間で再度申請が急増する可能性がございまして、これにつきましても、さらなる交付窓口の体制の拡充などについて再度検討中でございます。
委員長: 本件について質疑のある方は挙手願います。
ICチップが壊れたら再発行手数料 (1,000円)は自己負担
田中いさお議員: これについては私も当事者で、ICチップのところが壊れたっていう、読み取れないっていうことで、何も使ってないのに壊れるんですよ、あのカード。それで、直すのに1,000円取るんですからね、あれ。僕、使ってないのに、勝手に壊れて1,000円というのは、挙句の果てには、3か月待ってくれっていう話なんですよ、これ。

それで、これはニュース、報道で出ましたけど、板橋は3か月かかりますって出てましたよ。ほかは1か月で出る。だから、これは本当に、やってありがたいとは思いますけど、遅いぐらいの話で、何で3か月、いまだに届いてない。やっと通知が来ました。それで、また予約して取りに来いって、通知が来てるんだったら、その通知を持って取りに行かせればいいじゃないですかって、僕は個人的には思います。
何でこんな不便なことをさせるのか。しかも、勝手に壊れて、人から金を取ろうとするのか。寿命はどうなんですかね、あのICチップの寿命って。それで自己負担っていうのがね。国が進めた事業でしょうけど、これは何とかしていただきたいなってつくづく思います、本当に。
そこら辺、感想があれば、課長。国の事業でしょうけど、お願いします。
戸籍住民課長: ICチップが壊れたときの苦情は、たまにお伺いすることはあるんですけれども、基本的にお渡しするときに正常に動作してることを確認してお渡ししているので、何らか、ちょっと区民の方のトラブルがあって故障されたんだろうということで、申し訳ないんですが有料ということで、それは国から言われていることでございますので、ICチップの故障についてはお金を頂いているところでございます。
あと、交付の期間につきましては、どこの区も特別定額給付金の申請の後、カードの申請が急増しておりまして、どこの区もちょっと2か月から3か月ということで、申請についてはお時間をいただいているような状況でございます。
私どもの区といたしましては、なるべくお渡しするときにお待たせする時間を短くするということで、事前の予約制ということにさせていただいておりまして、予約なしに来ていただいてしまいますと、何千枚というカードの中からお客様の分を探し出すというのは手間もかかりますし、あとお渡しする前にこちらで処理を行うという必要がございまして、それにもまた時間がかかってしまうということがございまして、基本的には予約ということで渡させていただいております。
これからちょっとインターネットで予約ができるようにということで、予約のほうも少しスムーズになるんじゃないかと思っておりますので、ご利用いただければと思います。
田中いさお議員: 令和3年1月までにはやるって、もう増員するっていうことですので、1月末とは言わず、まだ11月10日ですから、一日も早くこの増員の体制をつくってもらいたいっていうことは要望して、質問を終わります。ありがとうございます。
マイナンバーカードの受け取りに通常で最低1ヶ月半はかかる
吉田豊明議員: 先ほど田中委員から、現在3か月もかかるということですよ。それで、通常でも1か月半かかるというのが、どういうわけで1か月半かかるのか、通常の話でいいんですけれども、教えてください。
戸籍住民課長: 通常の手続ですと、インターネット等で区民の方が申請をされます。その申請からカードがこちらに届くまでに10日から2週間ほどかかります。受け取ったカードを今度はこちらのほうで入力などの手続がございまして、それが終わりましたら、今度は委託業者のほうになるんですけれども、カードを受け取りに来てくださいという連絡の通知のリストを作っていただいて、通知を発送するということで。それが届いてから、また予約ということで、通知が届いてから大体、予約いただいて大体短くても5日後ぐらいに取りに来ていただくということになりますので、通常では1か月から1か月半ぐらいという時間を見ているということでございます。
マイナンバーの申請から受け取りまでの流れ
区民がカードを申請する
↓
申請書が区役所に届く
↓
区役所職員が入力などの手続きをする
↓
委託業者がカードの受取人リストを作成し、区民に通知を発送する
↓
区民がカードの受け取り日を予約する
↓
区民がカードを受け取りに行く
吉田豊明議員: よく聞こえなかったんですけれども、様々な手順が入っていて、J-LIS (地方公共団体情報システム機構)に申請をして、カードも送られてきて、それも検品みたいな形もするんでしょう、そういうのも含めて通常でも1か月半かかるということだと思うんです。これが10月26日現在で何と2万3,400件も滞留をしていると。だから、相当の日にちを要さないと申請された方には渡らないということなんですけれども、現状は今どうなっていますか。変わらないですか。
戸籍住民課長: 現状といたしましては、申請数が若干落ち着いてきているところもございますので、少しずつ滞留は減っているところでございます。あと、11月から本格的に9階の窓口のほうを開設しておりまして、大体9割ぐらいの方の予約をいただいてカードの受け取りを進めておりますので、少しずつ減ってきているところでございます。
現場職員を増やしてボトルネックの解消を目指す
吉田豊明議員: この今滞留をしているカードの申請の交付や、それから、ここのところちょっと減っているとはいえ、今後増えるかもしれないし、カードの申請の対応、これらに対してまず1つは窓口を拡大するということ、それともう一つは対応職員を増やすということ、この中で行政補助員追加雇用というふうになっていますが、何人ぐらいの追加雇用をされる計画なのか。それから、もう一つは、区民文化部内での応援体制を依頼するということになっていますが、兼務でやってもらうということですよね、どういう方を想定しているのか。また、戸籍住民課のOBを中心に、その辺の人数を教えてください。
戸籍住民課長: まず、行政補助員でございますが、今7名雇用しておりまして、あと、ハローワークのほうで今求人をしておりまして、それが十五、六名の予定でございます。あと、区民文化部の応援につきましては、平日は大体3名程度、休日は5名ほど、1階と9階でちょっと窓口を分ける関係がありまして5名ほど。あと、兼務の職員につきましては18名で、大体週2日、3日ということでお願いをしておりまして、戸籍住民課のOBということで、機械の操作がすぐできる方ということでお願いしたところでございます。
吉田豊明議員: そうすると、相当の人数を配置して、また場所も確保をして進めていくということだと思うんです。
それから、ポイント3のWEB予約というのは、従来もインターネット上の申請はできていたと思うんですけれども、何か特別な申請の仕方になるんですか。
戸籍住民課長: こちらはカードを受け取る日時の予約ということで、インターネットで、以前やっていたんですが、ちょっと利用が少ないということで休止をしていたんですが、今回ちょっと電話では対応し切れないということがございますし、比較的若い方の申請が増えてきているという状況がございまして、インターネットを使った予約も進むのではないかということで、今回12月から開設ということでございます。
※マイナンバーカード受け取りWEB予約
https://www.mynumpo.com/mynumpo-itabashi-u/reserve/notice_initDisplayRedirect.action
吉田豊明議員: じゃ、これは申請ではなくて、カードを受け取るとき、何日に行きたいんだけれどもというものの予約になるわけですね。はい、分かりました。
それで、交付計画が進んでいくということで、特に今年に入ってマイナンバーの申請が非常に増えているということです。それはマイナポイントであったり特別定額給付金などの事情があったと思うんです。
マイナンバーカードと健康保険・銀行口座のひも付け
それで、もう一つ気になっているのが2021年3月から、だからもうすぐですよね、健康保険証のマイナンバーカードとのひもづけということが実施されるというふうに聞いています。菅総理になって、デジタル庁をつくったり、こういったマイナンバーを推進していく、ひもづけも推進していくというふうに聞いていますが、まず健康保険証のひもづけについてはどうなのか。それから、もう一つ、銀行口座とのひもづけについてもお聞きしたいんですけれども、よろしくお願いします。
戸籍住民課長: 健康保険証につきましては、マイナンバーカードが保険証の代わりになるということで、それは決定されるということは聞いておりますが、保険証がなくなるわけではなくて、保険証として使いたい方については、ご自分でパソコン等を使って、自分で保険証というのをひもづけした上で保険証として使えるようになるというふうに国保年金課長のほうから説明を聞いております。銀行口座についてちょっと情報がございませんので、何とも申し上げられません。
吉田豊明議員: そうすると、これは保険証とのひもづけに関しては、区の申請とかは経ないで、ご自分でインターネット上での申請、ひもづけになるということですね。
そうすると、今後も国のほうからすると、マイナンバーカードの交付を推進していくという立場だと思うんですけれども、今後のこの交付計画については、滞留分をなくしていくということが大きな目的だと思いますので、これ、次年度はどうなるのか、それをお聞きします。
戸籍住民課長: 先ほどもご説明しましたが、国のほうでは、もう交付を進めるということで、現在申請していない方に全員に対して12月末から来年の3月、3か月をかけて全員の方に申請書を再度お送りするということがございますので、それによってまた少し申請が増えてしまうのではないかなというふうに考えておりますので、そこに対応できるようにこちらとしても、もうちょっと窓口の増強について今検討しているところでございます。
2年で75% (およそ40万枚)の交付が板橋区の目標
吉田豊明議員: 当初、マイナンバーカード交付事業の最初の段階では、一定の目標なども立てて計画をされていたと思うんですけれども、今年はこの滞留している分をどうにかしようかということだと思うんですが、何年度までに何枚発行しようとか、そういうような計画は、国のほうからはするようにということはなっていないですか。
戸籍住民課長: 国のほうからは、交付推進計画を立てなさいということで話が来ておりまして、区としましては、来年と再来年、その2年をかけて交付率75%ということを目標にしているところでございます。あと、区の独自の計画といたしましては、今年度ICTの計画が見直されていますので、その中でまたちょっと目標数値を設定していくことになるのかなと考えております。
吉田豊明議員: 国のほうから要請されている交付計画を来年度、再来年度とつくりなさいということで、交付率75%というと40万枚ぐらい、それを2年間で行おうという非常に大変な計画だなというふうに思いますが、またそれはそれで委員会のほうには報告はあるということでよろしいですか。
戸籍住民課長: 申請の状況等についてはご報告させていただきたいと思います。
◆参考資料
マイナンバーカード総合サイト
https://www.kojinbango-card.go.jp
マイナポイント事業
https://mynumbercard.point.soumu.go.jp
マイナンバーカードと保険証のひも付け
https://myna.go.jp/html/hokenshoriyou_top.html
マイナンバーと金融機関口座の「ひも付け」 義務化は見送り
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201127/k10012734671000.html