再開発の名のもとに―問われる板橋のまちづくりと区政の責任
- チームくらデモ
- 10月6日
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オール板橋が学習会「板橋・赤羽から問う再開発の現在」を開催

2027年4月に予定されている板橋区長選・区議選まで、あと2年を切った。区政はいま、折り返し地点を過ぎたところにある。選挙の公約は果たされているのか、区政は本当に市民の方を向いているのか――そうした問題意識から、超党派の市民運動のネットワーク「オール板橋」(中本源太郎・村木正弘 共同代表)では、9月より区政課題をテーマにした連続学習会を企画している。
第2回となる今回は、「板橋・赤羽から問う再開発の現在」と題して開催された。大山、上板橋、高島平、赤羽など、区内外で再開発に反対してきた住民たちが報告を行い、行政・企業・政治の関係を改めて見つめ直す場となった。
報告では、都市づくりをめぐる現実の厳しさが改めて共有された。住民は多くの場合、行政や企業が主導する計画に対して受け身にならざるをえず、街の変化に戸惑いながらも「決まったこと」として受け入れざるをえない。その困難さが、各地の経験を通して語られた。
一方で、会の終了後に寄せられた感想やコメントの中には、「あきらめてはいけない」「当事者の声を聴かない行政、請願すら退ける区議会。この構造を変えていかなければならない」との声もあった。住民の声が届かない仕組みそのものへの怒りと危機感がにじんでいた。
議論の中心となったのは、再開発の裏側にある金の流れだ。不動産デベロッパーは都内・区内をくまなく歩き回り、「ここだ」という土地を見つけては自治体に働きかけ、税金を使って再開発を進めさせる。参加者の多くが「企業主導のもうけの構造が透けて見える」「公共の仕組みに寄生するようだ」と感じていることがうかがえた。

自治体の側も、国からの補助金を加えた税金を惜しげもなく企業に投入し、「街の近代化」「景観の整備」といった名目で公共事業を推し進めている。しかし、その背後では行政・企業・政治が結びつく構図が見え隠れする。政治献金や票の取りまとめなど、利害関係の連鎖が指摘された。
赤羽の再開発の現状と課題を報告した「やさしいまちをつくる会・北区」代表の藤平輝明氏は、国の補助金がかつてのように無制限ではなくなっている現状に触れ、「国の制度そのものが限界を見せ始めている」と指摘した。 ちなみに、第1回目の「オール板橋」連続講座では、児童館問題が取り上げられ、指定管理者制度の導入を批判的に検討した。再開発と児童館。一見別々に見える政策であるが、小泉構造改革以降の規制緩和がもたらした「公共の私物化」という同じ流れの中にあることも見えてきた。
では、私たちはどう向き合えばよいのか。学習会では、「税金の使われ方に注目すること」が一つの手がかりとして示された。再開発に投入される多額の公金は、その分、市民の福祉や教育の予算を圧迫している。税の流れを追い、実態を明らかにし、市民の怒りと疑問を少しずつ結集していく。その積み重ねこそが、この構造に風穴を開ける第一歩になりうるのではないか。
再開発は街を大きく変え、そこに住んできた人びとの暮らしを左右するにもかかわらず、十分な情報公開や住民参加の機会が確保されていない。まちづくりを利権のある一部の人たちで決めてよいわけがない。民主主義の根本にも関わる問題だ。情報公開と合意形成の姿勢がいま問われている。
静かながらも熱のこもった議論が続いた学習会について、「オール板橋」事務局長の高尾誠氏は「市民、住民によるまちづくり。無関心な人も多いかもしれませんが、あきらめてはいけない。声を上げ、行動することが変化の始まりになる」と語った。

オール板橋の連続学習会は、区政の課題を可視化し、市民が主役の板橋をつくるための取り組みとして続いていく。
そして2年後―市民の声を聴き、公共の責任を取り戻す区長を、自らの手で選び取ることができるかどうか。それが、これからの板橋に問われている。 第3弾は、11月28日(金)板橋地域センターで18時から20時まで。「自治体から生活保護を問う」として、「いのちのとりで裁判」を取り上げる。講師は田川英信さん(生活保護問題対策全国会議事務局次長)を予定している。








とても良い企画ですね。
私が、都市計画道路問題にとり組んだのが、昭和50年代。区内に計画されていた都市計画道路、全部を見直すという、大規模な作業の、中心的役割を担って、57年に、見直し検討会の素案を発表し、一路線ごとに意見を付し、廃止すべき路線や、当時はまだ無かった「環境アセスメント実施」などの条件を並べ上げて、住民参画の元での都市計画決定手続きの実行を求めました。当時自民党や公明党区議は、道路行政についての理解に乏しくて、ほぼ私の私案どおりの、素案がまとまりました。
その時は、「廃止すべき路線」となっていた、補助73号線が、いまや、十条駅前のタワーマンション横を通り抜けることとなってしまい、残念でなりません。
問題の根本なのですが、日本の都市計画法関連の民主化という課題の提起が、一部専門家を除いて、あまり市民権を得ていない。東京都が、その権限のほとんどを握り、23区の自主自立的都市計画決定手続きが、できない。一番住民に近い位置にある行政体による決定手続きがほぼできない。この仕組みを改めさせることが重要かとおもいつづけてきました。裁判などでも、この手続き上の瑕疵が認められない限り、住民側の訴えは、ほぼ退けられてきたというのがじっさいでした。
都市計画審議会は、都が地方審議会、区は都市計画審議会がありますが、長い間、膨張ができなかったり、対応する議会参加も不十分であったりと、都と区の事務局、つまりは官僚たちによって、良いようにされてきてしまった。それは今も変わりが無い、という有様でした。
これを含めて、法改正を迫りつつの、区への権限委譲や、その区に十二分に意見があがり、それを尊重させる決定手続きに改変していく必要があります。
この集まりはとても良い。拍手を送ります。