住民の反対意見に耳を傾けず、小中一貫型学校の計画を一方的に押し付ける教育委員会は、子どもに民主主義を語れるのか?

志村小・志村四中の小中一貫型学校についての説明会(6月18日)に行ってきた。私は該当地域に住んでいるわけではないが、この計画はどうも変だなと思っての参加した。14時に開始し、資料をもとに教育委員会からの説明が40分、その後質疑という予定だったが、質問が止まることはなく、会場が使用可能な時間である17時まで行われた。


資料は下記のものが配布された。

●志村小学校・志村第四中学校 小中一貫型学校改築計画 基本構想・基本計画報告書

https://www.city.itabashi.tokyo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/037/615/kousoukeikakuan.pdf

●志村小学校・志村第四中学校 小中一貫型学校 基本構想・基本計画報告書(案)に対するご意見・ご質問

https://www.city.itabashi.tokyo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/037/615/ikenyousi3.doc


まずは私の結論。この説明会で意見や質問をしても、計画を変えるつもりは微塵もないということだ。何を聞いても教育委員会が答えることはほぼ同じことの繰り返しだった。事前にアンケートをとって賛同を得たということ、協議会や検討委員で話し合ってきていること、議会承認を得ていることなどがその理由。さまざまな案があったが、このやり方しかないと判断している。概ねこんなところだった。

議事録はそのうち教育委員会が作って公表するはずだ。私はこんな話があって私はこう思ったということを書こうと思う。質問は同じような内容ごとに、色々な人のものを混ぜた方がわかりやすいと思ったので、そのようになっている。


■アンケートについて

・11月にアンケートがとられたが回収率は32パーセントだったが、これで十分だったと思うか」 ・保護者だが、アンケートは見た覚えがない。またアンケート内容は、小中一貫校になったら通わせたいかという質問。通いたいも通わせたくないも地域の学校なのだから通わせるしかない。賛成することを強制されるような内容だった。また、一貫校になるということの説明がありその後のアンケートという訳ではなかったから、答えた人の中でも何のためのアンケートか分からずに答えている人もいたのではないか。

・アンケートはどうも話を聞いている限り時期や対象や時期に合わせて何種類かあるのかなという印象。その一つはHPにアップされている。下記の通りだが、私が見た感想は「これ…だけ…なの?」だ。

https://www.city.itabashi.tokyo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/037/615/anketo.pdf


これだけ?という問題はさておき、このアンケート結果で中高一貫校に求めるものは

1番「十分な広さが確保された校庭や体育館などの運動設備」でした。



しかし、計画されている学校は狭い。板橋区の平均的な一人当たりの小学校の面積は22.2㎡、中学校は33.1㎡、新しくできる小中一貫校は14㎡。7階建てにしてもこの面積しか確保できないということ。アンケートをとっても結果を反映しなければ意味がない。「こんな意見がありました」と、意見を集めれば区民の意見を聞いたことになると思っているのだろうか。

また、このアンケートは冒頭文に「志村小学校と志村第四中学校については、小学校と中学校が同じ建物として新しい学校となります。」と書いてある。これではもう決まったことのように見える。誰かがこの時点でもう決めているのだ。誰がどんなプロセスで?本来は「志村小学校と志村第四中学校は、二つを同じ建物として新しい学校になるというこのような計画がありますが、どう思いますか?」がアンケートのスタートなのではないか。


32%という回答率もどうなのだろう。学校では他の提出物は提出していないと何度も先生から催促の連絡があるはず。アンケートを見たことがないという人が多いのも疑問だ。こどもが持ち帰るものだからということもあるだろうが、アンケートが戻ってくることをあまり重要視していなかったのではないかと思ってしまう。



■7階建ての校舎について

・学校は地域の避難所としても使用される。新しく建てる学校の場所は浸水時の想定の高さが3〜5mとなる場所。基本計画には上下の移動が少なくなるようにと書かれているが、7階建だから上下の移動は確実にある。浸水時はエレベータも止まる。それに対して志村小は高台にあるのにその場所を捨てるの? ・小学生が屋上のプールを使用する時はエレベーターを使用するとのことだが、エレベーターは通常小学生には危険があるので使用させていないのになぜ? ・中学生の教室は上の方の階にある。この中で集合住宅に住んでいたり職場が6階だったりして毎日階段で登り下りしている方がいる?私は今までそんな経験はないし聞いたことがない。非常識だ。

どれもその通り。計画自体が無理なのではないかと思う。

教育委員会は同じように高層の学校の例をあげ、その学校は教員がついてエレベータを使用しているから大丈夫と言っていたが、そういう問題ではない。今までの場所にそれぞれを立て替えすればそんなことをする必要がないのだ。同一校舎での立て替えありきの答えとしか思えない。避難所としてこの建物を使用することも本気で検討したのだろうか。避難所には高齢者もいる。浸水している建物の階段の登り下りは現実的なのか。



■提案について

・まず小学校のための仮校舎を建てて志村小を立て替え、その後その仮校舎を志村四中の生徒が使用して志村四中を立て替える。これが6年かかる。ずっと仮校舎で過ごす子が発生することを懸念して一つの校舎にすることに決めたようだが、7階建ての問題点のある学校になるのなら時間をかけて良い学校を作る方がいい。 ・廃校になって使用していない学校をリフォームして仮校舎にし、スクールバスで登校している地域もある。そういうやり方も検討してほしい。 ・校舎を一つにしなくても、小中一貫校は作れる。少し離れているところもある。別々の校舎で小中一貫校ということでもいいのではないか。

ずっと仮校舎で過ごす子もいるけど、そうならないためには7階建ての狭い学校になってしまう。どっちがいいかを地域住民に問うたことはあるのだろうか。こういう質問になると、協議会、検討会で決まったので…という話になる。検討会は意見を出し合う場であって、決定権はないはず。検討会を困った時の口実にしていないだろうか。


スクールバスの提案については、他区ではそのやり方で何校も立て替えを行ったとのこと。そして、その区には視察にも行ったとのこと。その際、視察先の方に板橋は道が狭いから無理ではないかと言われたとのことだった。うーん、板橋だって地域によって道の広さなんて違う。道が狭いなら広い場所に集合すれば良いだけだろう。


今の計画に都合が悪いことがあると、たった 1箇所でも他の事例があればエレベーターに関しては使用するのに、スクールバスは板橋なりのやり方を検討することもなく、他区の人が言っただけで選択肢から外す。どんな意見が出ても、校舎一体型に都合が悪ければ排除し、都合が良ければ事例を見つける。そんなふうに私には見えた。


■意思決定のプロセスが全く見えない

・初めから校舎一体型の小中一貫校ということは決まっていて、枝葉の小さなところだけ検討する余地があるような説明になっている。 ・反対意見が多くても、この計画を変更することはないと言っているが、その決定は結局のところ誰がしたのか。 ・協議会や検討委員会が決めたということが何度も回答の中に出てくるが、このメンバーはどのように選ばれたのか。 ・議会でも承認されたと言っていたが、いつ、どの委員会のことか、議事録を確認したい。 ・小中を一つの校舎にすることはいつ、誰によって決まったのかが不明。

この件の検討に出てくる団体は、教育委員会、協議会・検討委員会、板橋区議会。協議会・検討委員会はPTA会長や自治会長などから、教育委員会が人選した人とのこと。検討会の会長は教育委員会事務局の次長(公務員)だ。はたしてこのメンバーで教育委員会の計画に反するような意見が出るだろうか。教育委員会の基本方針に反対意見をしない人を選んでおいて、反対意見はありませんでしたということになるのは当たり前。初めから協議会に様々な意見の人を入れるべきだったのだと思う。


議会議事録も確認してみた。議事録は下記の通り。 令和3年1月21日文教児童委員会


議事録しか見ていないが、すでに校舎を一体とした小中一貫校を作ることは決まっていてその先のことについて質問しているようにしか見えない。ここでももうすでに決まっていたように感じるのは私だけなのだろうか。質問に対しても「意見書を踏まえて十分配慮していきたい」というような答えが多く、具体的にどのように配慮するかは述べていない。


協議会には学校教員は入っていないということも気になる。学校行事などについて検討するときに教員に入ってもらうつもりのようだが、それでは遅すぎるだろう。現にこの説明会には学校教員経験者が来ていて反対意見をあげている。7階建てについて教員はどう思うか。職員室が小中合わせてひとつしかないことを教員はどう思うか。教室移動の動線を考える上でも教員の意見は必要だ。


ちなみに私は保育園の立て替えに関わったことがあるが、仮園舎を作る初めの検討から保育士が関わって意見を伝えていた。教員は最低限こんな設備が必要だという意見すらあげられず、与えられ校舎であとは任せるから工夫してやってねということなのだろうか。現場には現場にしかわからない事情がある。なぜ初めから教員を入れなかったのか疑問だ。


議会は令和3年の1月。その時点で検討委員会の下に3つの作業部会を作り、①通学区域・通学路に関すること ②学校名、校歌、校章に関すること ③PTA組織に関すること などということを話し合っている。しかし、そもそも校舎を一つにするかどうかということは話し合っていない。これはどのように決まったのだろう。


議会の議事録を読んで感じたのは、議員からの質問は今回の説明会で出ていた質問と重複する部分もかなりあった。つまり、その当時から指摘されていたのに何もしていないということだろう。議事録を読んでいただければわかると思うが、議員からの疑問は多数あるが解決された訳では全くない。時間がきたので終わっている。今回の説明会のようだ。これをもって承認されたと言えるのが本当に不思議だ。議会とはこういうものなのだろうか。私にはさっぱり理解できない。


説明会では納得するような答えが全く得られなかった。「説明して質問は受けました。あとはご理解ください」という言葉ばかりだった。会場からは「理解できません」という複数の声が上がった。何度も説明会に参加した人にとっては、決定権がない人に意見を言っても、意見を持ち帰ってそのまま放置されることが続いていたからだ。


会場からの要望は、決定権がある人(教育長)が説明会に出ることと、一度白紙に戻して検討し直すことだったが、教育長には伝えますという回答のみだった。


最後に。

この文章を書いているときに突如として20年前の記憶がよみがえった。

当時の私の尊敬する上司が言っていた。


大きな仕事をすると必ずどこかから反対意見が出てくる。それをどう納得してもらうかということには初めが肝心。初めの段階から責任のある異なる意見を持つ人を、何人か必ずメンバーに入れておくこと。おそらく話し合いは難航するだろう。でも決まってから反対意見が出た時、説得してくれるのは大抵最初に反対していた人だ。十分な話し合いをした結果そうなったことをその人は知っているからだ。そして話し合いの段階でその人を説得できないような案なら後から反対が出た時だって説得できっこない。反対意見があるのにそれを解決せずに無理に突き進めば信頼を失う。だから面倒なことになることはわかっていても、同じような意見のメンバーだけで仕事をしてはいけない。


ああ、こういうことだったのかと、20年前に言われたことが、今やっと理解できた。

つまり、民主主義ってそういうことだ。

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