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「(仮称)板橋区都市づくり推進条例案」は詰めるところがたくさん残されている

更新日:2021年2月25日


 現在、板橋区では令和2(2020)年5月14日(木曜日)から6月4日(木曜日)まで、「(仮称)板橋区都市づくり推進条例案の概要」についてのパブリックコメントを募集しています。


 この条例案をどう読んだらいいのか。いかなる声を板橋区に届けることができたら、「住民発意による都市づくりの促進」になるのか。こうした観点から、伊藤久雄さん(公益社団法人 東京自治研究センター理事、認定NPO法人まちぽっと理事)に意見を伺いました。

 


1、板橋区都市づくりビジョンについて

 「(仮称)板橋区都市づくり推進条例案」は、「板橋区都市づくりビジョン」(以下、「都市づくりビジョン」と略)

の実現を目指すことを目的にしています。



 したがって他の自治体の「まちづくり条例」や「街づくり条例」と目的は同じものということができます。ただ「都市づくり」という名称はこれまで聞いたことはありません(もしかしたらあるかもしれませんが)。


 「都市づくりビジョン」は、平成23(2011)年3月に策定した前計画である「板橋区都市計画マスタープラン(第2次)」(都市計画法第18条の2に基づくもの)を改定するもので、したがって、「都市づくりビジョン」は、改定した「都市計画マスタープラン」の別名となっています。


 わざわざ「都市計画マスタープラン(第3次)」ではなく、「都市づくりビジョン」としたこと、また今回の条例が「都市づくり推進」条例であることに区の「こだわり」を感じます。


 区のホームページには、「都市づくりビジョン」策定までのスケジュールが示されており、区民アンケート(1回)やパブリックコメント・住民説明会(説明会は11か所、12回)が取り組まれたことが分かります。しかし審議会等の設置はなかったと思います。骨子案の策定は区の内部で行ったと思われますが、公募(もしくは無作為抽出)委員を含む審議会等の設置が行われなかった経緯の説明が不十分だと思います。


 そうだとすれば、平成30年度の主な取り組み実績として公表されている「都市づくりビジョン」連絡調整会議(全体会2回、分科会12回開催)の議事録の公表、都市計画決定や変更、事業認可(全体で7事業)に関わる住民参加手続きや住民意見の公表などを行うことが必要です。

2、「板橋区都市づくり推進条例案の概要」を点検する

 以下は、私の意見です。

① 意見募集期間について 募集期間は20日間しかなく、短すぎる。少なくとも1か月は設けるべきである

② 定義等について 以下の定義、理由等がよく分からない。明確にすべきである。

・意見募集の対象者に「区内在住の方」と「区内で活動する個人」とあるが、両者を特に区別する理由は何か。

・「協働」の定義、概念。


③ 都市づくりを先導的に推進すべき地区等

・「都市づくりビジョン」では、先導的な取組みとして5つのエリアが示されている(板橋駅西口周辺、加賀周辺、ときわ台駅周辺、新河岸周辺、高島平周辺)。条例案にある「都市づくりを先導的に推進すべき地区」および「都市づくりを先導的に推進すべき地区に準ずる地区」とは、この5つのエリアの中から指定するということか。

④ 区民発意による都市づくりの促進に関わるまちづくり協議会について

・条例案に示されている3つのまちづくり協議会(届け出まちづくり協議会、登録まちづくり協議会、承認まちづくり協議会)は、「都市づくりビジョン」のどこに位置づけられるのか。

・都市づくりのルール(地区計画外)は、「都市づくりビジョン」のどこに位置づけられるのか。

・まちづくり憲章とは、何を指すのか。

・地区ガイドラインとは、「都市づくりビジョン」の「エリア別の都市づくりの展開方針」のことか。


⑤ 都市計画・景観計画の手続き

・地区計画等の素案の申し出は、登録まちづくり協議会も可能ではないか(都区計画制度の発意)

・登録まちづくり協議会および承認まちづくり協議会による都市計画・景観計画の提案は、都市計画法第21条の2に定める都市計画提案団体、景観法第11条に定める景観計画提案団体と理解してよいか。

・都市計画の案の作成にあたり住民の意見を反映させるための必要な事項は、地区計画等に定める原案の公告・縦覧・意見書の手続きと同様、条例に定めるべきではないか。

・都市計画法等に付加すべき手続き(公聴会開催等に必要な措置、案の縦覧の期間延長など)を条例に定めるべきではないか。


⑥ 大規模土地取引行為の届出等

・大規模土地利用構想の届出に関しては、土地取引の6か月前(条例案では3ヶ月前)とすることが必要ではないか。

・敷地面積5,000㎥は3,000㎥以上とすることも検討し、その場合には区としての開発基準、事業配慮指針の策定と順守を規定することが必要ではないか。

・大規模開発事業者は、まちづくり協議会に対する情報提供だけでなく、周辺住民に対する周知および説明会の開催を義務づけることが必要ではないか。

・開発事業のうち、建築基準法第2条第13号に基づく建築を行う場合は、「板橋区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例」の例によることを規定すべきではないか。


⑦ その他

・条例案は、基本的には都市計画・景観計画、都区計画、大規模開発事業等に関わる条例だと考えられる。だとすると、都市づくりビジョンに掲げられた以下の事業の推進はどのように進めるのか。

▹ 道路・交通ネットワークの形成

▹ 良質な住宅・コミュニティの形成

▹ 緑と水の創出・保全

▹ 低炭素・環境共生社会の実現

▹ 街並み・景観の形成

▹ 安心・安全な都市づくり

・道路・交通ネットワークの形成に関連しては、東京都第4次事業化計画・優先整備路線(都市計画道路の整備方針)について、区と区民との協働を謳うからには東京都との協議の経過を公表して頂くことが重要だと考える。

・また、ここ数年顕著な気候変動にともなう異常気象が頻発していることにともない、大規模災害に対する備えは急務である。区は地区居住者等の提案を踏まえて地区防災計画(災害対策基本法第42条の2)を策定し、条例に反映すべきではないか。 #板橋区都市づくりビジョン

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