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「人間の尊厳」を大事にしたい、介護でも政治でも

最終更新: 2月25日


 SNSの登場で、これまで地域でなかなか出会うことのなかった同好の士を見つけやすくなりました。また現在の私たちの社会の抱える問題が人と人との新しい結びつきによってしか解決できないとするならば、SNSは社会をよりよくする運動にとって不可欠のツールだと思います。


 今回はFacebookで注目の交流サイトになっている「板橋区、板橋区に興味がある人交流会」の管理者である大澤良江さんにメール・インタビューしました。


大澤良江さん

―私たちも大澤さんとは「板橋区、板橋区に興味がある人」でつながりました。管理者として心がけていることはあるのでしょうか?

 管理人を始めたのは4、5年くらい前だったかと思います。前管理人さんとはプライベートでも仲良くしていて、ある日管理人をやめるんで、なってみませんか?とメッセージがきたんですよ。

―大澤さんが始めたものとばかり思っていました。でも大澤さんにお願いするというのは信頼されていたからですよね。

 板橋区生まれだから興味あるし、思い出深いし、せっかく任されたのもあり、二つ返事で引き受けました。


 前管理人は繊細な方でよく話を聞いていました。聞く耳を持っていると判断してくださったのでしょうか、私を信頼してくださり、管理人をお願いしたい気持ちが前管理人のなかに生まれたのかなと思っています。運営にあたっては、個性を活かしつつ一人ひとりが視野を広げる力をもてるようにアクションしてもらえるよう心がけています。

―「個性を活かしつつ一人ひとりが視野を広げる力」というのはどの場面にも必要なことですよね。  他に注意している点があるとすれば、基本的なマナー違反をされた方には、そのことをご理解いただけるように声かけするところですかね。マナー違反者は即退場にするというような排他的な対応はしないようにしています。

 問題だと思われる発言であっても、そこに必ず理由がある。オンライン上では相手の顔が見えないだけに、文脈を抜きにして発言だけを取り出して、判断しないようにしています。マナー違反をわかってくれて、「板橋区、板橋区に興味がある人」でこれからもつながっていける方なのか、やはりそうではないのか。慎重に見極めています。

―大澤さんは居宅介護支援事業所で「ケアマネ」として働いておられます。今のお仕事について簡単に紹介していただいてよろしいでしょうか。

 「ケアマネ」と略されることも多いのですが、介護支援専門員というのが正式名称です。

利用者(「第一号及び第二号被保険者」)が、必要としている介護サービスを過不足なく利用できるように、利用者の立場に立って総合的な支援をします。

 本人や家族をアセスメントし、利用しているサービスをモニタリングして、「介護サービス計画書(ケアプラン)」を作成しています。その際に市町村・サービス事業・施設、家族などとの連絡調整を行なっています。管理者を兼務していますので、月の業績や、行政が求める書類の不備の有無、部下の健康チェックなども仕事になります。

―コロナ禍のなかで困っていることはありますか?

 国や自治体に要望したいのは、品川区や三鷹市では商品券の支給や、介護や医療に関わるスタッフに1人あたり25,000円の支給がありました。板橋区にもそのようなカバーがあれば現場としてはありがたいという声はよく聞きます。

―そもそも介護の道を選んだきっかけは何だったのですか。

 親に勧められたのはあります。何もやることがわからずに高校卒業を迎えます。当時の担任の先生に今まで何をしたいか考えてこなかったの?と怒られました。卒業して半年ほどプラプラしていたのですが、その時に母方の父(祖父)が脳梗塞で施設に入所しました。

 自宅での祖父の体の悪化には祖母も視覚障害者でもあり気づかず、祖父は脳梗塞から半身麻痺という形になりました。その後の施設での生活はTVで取り上げられるような介護ではなく、機械的な介護でした。そこには、今から振り返っていえば「尊厳」という言葉があるのかと疑問が沸きました。そこから私は介護の世界は始まりました。

 「介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)」はホームヘルパーのスタートラインとなる資格ですが、その資格を通信とスクーリングに通いながら取得しました。実習もあります。3日間ほどの施設体験をします。  私の場合には実習先の社会福祉法人の雰囲気が良く、訪問介護員として2年半ほどそこで働き、併設している特別養護老人ホームで1年働きました。当時の先輩に、ヘルパーの上位資格の介護福祉士取らないの?といわれ、私もどうせならとことん突き詰めたいので、取る流れになりました。

―Facebookの投稿を見ても突き詰めていくタイプって感じがします。

 卒業と同時に介護福祉士を取得できる専門学校に2年間、これまでの施設の仕事をやめて通うことにしました。


 専門学校を終えると同時に、病棟の看護師と患者さんを見回る介護士として働きました。急性期の脳外科に配属されまして、そこで1年を過ごしました。医療の現場に触れる意味ではいい機会だったのですが、介護職は助手みたいな扱い。生活よりも治療を優先させる職場環境。どこか仕事の方向が違うと感じまして、以前務めていた施設に出戻りをしたということになります。  ちなみに介護福祉士として5年間の実務経験があると現在取得している介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を取れます。更に介護支援専門員として5年の実務を経験すると、主任介護支援専門員(主任ケアマネージャー)になります。

―よく介護業界はきつい仕事と言われますが…。

 そんなことを言えば、どの業界や職種もきついんじゃないかなと思いますよ。仕事を通じて、人を一人の人間として見ることができれなければ、どんなことでも次に繋がらないと思っています。

 むしろ、介護業界がビジネスの世界になっていることを心配しています。

 介護は、過去・現在・未来を紡いでくださった一人ひとりの人生、ストーリーに伴走し、そこから学ぶことでもあります。介護という営みを通じて、言葉や表情、表現、環境、そのなかにある喜怒哀楽に触れることができます。そこに私は人間が生きている証を見ています。それは実際に介護において個人の尊厳を大事にすることだとも思います。

―介護という仕事のやりがいはどこにありますか?

 私みたいな30代後半の若輩者は、利用者さんだけではなく、利用者さんの家族の人たちにも、こんな若造に何ができるのか、と思われがちです。しかし、利用者さんの急激な体調悪化があり、それともない、新たな介護サービスの導入や、医療や医療制度に関する選択肢をこちら側が提示し、利用者さんや利用者さんの家族とのコミュニケーションを深めるなかで信頼を得て、仕事を任される時はうれしいですね。

―介護ってコミュニケーションなんですね。  介護職を目指す方には、幅広く知識をきちんと学んでほしいですね。実習などでわからないこともそのままにせずに、わかるように自己研鑽が大事。また基本的な一般常識やマナーはもちろんですが、これからは外国籍の方も介護職として共に働く時代。語学も大事。そのほかに、数学、物理、歴史、倫理など教養世界も深めていければと思います。


 個人の尊厳を大事にする介護のためには、幅広い知識や教養が必要となります。人間をまるごと扱うのが介護の仕事ですから。

―政治についてはどうお考えですか?

 政治に関しては正直関心がありませんでした、政治に期待をしても無理だと思ってきましたし、なんだか難しい分野だと思っていました。


 ですが、先輩ケアマネージャーからは、不平ばかり口にしていても現場の問題は解決しない、主たる場所に出て行って発言するようにと言われています。また、行政の考えを知ることが大切であり、議員にも介護について要望を伝えて政策を提言できるような関係を築きなさいと言われています。


 時折、仲間と一緒に勉強会を開いていますが、憲法や基本的人権に照らして介護の課題を考えて見ると、個人の尊厳という課題が浮かび上がってくることに気付きました。


 憲法25条で言われている「健康で文化的な最低限度の生活」をどう保障するのか一つをとっても、介護と政治は密接に関係しています。今後はその辺も踏まえて勉強会を開いていければ、介護における個人の尊厳をより深く理解できるとも思っています。 ―最後に、最近ご結婚されましたが、どんな感じで過ごされていますか?

 結婚をして気づいたことは、緊張感が半分になったことかな。夫の(私の)人生を互いに支えあう。そう感じることで自分だけじゃないという気持ちになりました。

 まだ、子どもはいないですが、子どもの何を育んでいくのかをイメージしながら、インテリアから、知性や教養など高めていこうと意識するようにもなりました。独身の時はガムシャラでした。今は、あらためて後世に何を残していくのかを考えるようになりましたね。

―次の世代によりまともな社会を手渡すためにも政治は大事ですよね。今回はどうもありがとうございました。


(聞き手・構成  編集部)

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