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2021年7月26日7 分

再度大山再開発を問う - ピッコロスクエア再開発はクロスポイントの総括なしにはあり得ない

最終更新: 2021年7月27日

区の姿勢が問われる再開発事業 区はなぜ住民と向き合わないのか?

 板橋区は今年度、区の組織を強化し、都市整備部の中に、まちづくり推進室(部長級)を設け、従来の拠点整備課を、まちづくり調整課と地区整備課の2課にして体制を強化した。しかし、住民対応は親切になったのだろうか?

大山再開発の現場は今

 大山町クロスポイント周辺地区市街地再開発事業は、2021年4月着工を目途に、建築確認を4月には取得したもようであるが、施工業者はまだ明らかにされないし、着工もしていない。ちなみに、再開発地域のほぼ西側に民間の高層マンションが建築中であり、完成はクロスポイントのマンションと同時期の令和5年12月予定であるが、既に基礎工事から鉄骨組立に進んでいる。

 しかしながら、クロスポイントのA街区(約3,100㎡、川越街道寄りのタワーマンション建築予定地)では、5月から土壌地下水汚染対策工事が施工されている。現場には、クリーニング屋が操業していたので土壌汚染は想定されたはずだ。操業当時は廃棄が違法でなかった化学物質(テトラクロロエチレンなど)が流出し、地下水及び土壌を汚染していたための除去工事である。特にクリーニングで使用した、テトラクロロエチレンが現場の掲示によると、土壌溶出量で20mg/Lと基準値0.01mg/L以下と比べてかなり高い値だった(他トリクロロエチレン、ジクロロエチレンの汚染もある)。

 入手した土壌地下水汚染対策計画書によると、処理面積224㎡ 処理数量4927㎥ が予定され、深さも23m近い工事で10月31日まで予定されている。地下水の汚染は令和5年12月31日までモニタリング予定である。大規模な工事で、建築工事の着工が大幅に遅れそうだが、着工時期は未だ外部には明らかにされていない。もっとも、ここは紛争予防条例に基づく説明会も最低限は開催したが、参加者の要望による延長の話し合いはコロナ禍で延期され続け、未だに開催していない。このまま着工するのではないかと住民も危惧している。A街区以外のD街区など建築物の撤去は終わっている。

A街区 現在の工事現場

A街区の土壌汚染源になったクリーニング店(2020年7月)
クロスポイント再開発 D街区現況
ハッピーロード西側 民間マンション建設現場

情報開示はほとんどなかった

 区や組合は何を恐れているのだろう?ここクロスポイント再開発は、2019年6月7日に再開発組合が設立された際に報道資料として計画概要を記載したパンフレットを作成配布した。名義人は、再開発組合、住友不動産、フージャースコーポレーションの3者である。その後、進捗状況は外部には一切開示されたことはなかった。2020年6月23日、権利変換の告示を関係者のみに通知し、2週間掲示した。300名以上の権利変換名簿が新聞紙より細かい字で掲示された。掲示後に内容を照会しても、「権利者以外には回答しない」とのことだった。

 区役所拠点整備課(当時)も「組合の掲示だから内容は知らない、字が細かいのも個人情報だから構わない」と容認した。組合も区も、街づくりに関心ある者が、どこの商店が移転し、商店を続けるのか否か、商店が何店舗できるのか、という疑問にすら答えない姿勢だった。その姿勢は未だに変わらず、未だに旧店舗の誰が店舗を続けるのかも個人情報を縦に、区議会委員会でも区は答えない。既存店舗で残るのは3店舗のみとみられるが区は認めない。予算も不透明で、今年度だけで6億5千万円の区費を投入している区の事業であるにも拘わらず内容内訳は非開示であるし、総額が不明であるのも大きな問題だ。

権利変換掲示

極めつけは、役員名も非開示

 区は何かというと開発組合の仕事だからと言って責任を回避する。では、その開発組合とは何だろう。都市再開発法では 再開発組合が第1種再開発事業を実施できる主体とされ、対外的には理事長名だけは公告することにされている。都市計画決定の後に役員を決めるとはいえ、その後の権利変換や建築計画から完成後の精算までの重要な決定に責任のある役員であるはずである。ところが、大山町クロスポイント周辺地区第1種市街地再開発事業組合は、役員名を区に情報公開請求したところ、理事長名だけは既に公告されていると言う理由で公開したが 他の理事は全て黒塗りの非公開だった。その他の理事名を公開できない理由としては「当該文書は、広く一般の第3者に公開しておらず、再開発組合の内部管理に属する情報である。当該文書を公開することによって、法人等の当該市街地再開発事業にかかる今後の自由な事業活動に支障が生じ、不利益を与えることになり、ひいては準備組合及び組合の今後の事業執行に支障をきたすため」だった。

 同時にピッコロ再開発準備組合の役員名簿も公開請求したが同じ理由ですべて非開示だった。つまり、役員名を公開すると、なんらかの妨害や圧力が役員に加えられる恐れがあり、今後の事業に支障が生じる可能性があるから、役員名は開示しないと言うことだ。権利変換も終わっている現在では組合員の権利変換での軋轢はあり得ない。では、何を心配して非開示にするのか?反対派の運動を想定して役員名を非開示にしたのか?という疑念もわく。法では理事長名だけ公告すればよしとされている。しかし、役員名が個人情報だとしても、板橋区情報公開条例では7条において公益上の必要がある場合は、個人情報を公開できるとされている。現況では、大手ゼネコンとコンサルの社員しか表に出ないで、役員は名目的だから表に出さない。組合の信頼性を高めるためにも役員名は公開すべきではないだろうか?広く市民と話し合っても良いという理事は一人もいないのだろうか?

再開発事業組合と準備組合の 役員名黒塗り文書

上板橋再開発は役員名も含めてかなりの情報を開示している

 私たちがなぜ役員名の非開示にこだわるかというと、クロスポイント再開発事業にかかる組合や区が

全ての情報を隠蔽しようとしているからだ。情報開示しないと市民は街づくりのために前向きに意見を述べることもできない。全体に賛成の区民も内容が不明では賛成もできない。

 現在、権利変換の準備中の、上板橋駅南口駅前東地区市街地再開発事業では、2021年4月に再開発組合の設立と同時に役員名を全て公開している。なんと、組合ニュースで配布しているのだ。同じ手法の再開発事業で、皮肉なことに関わる民間会社はどちらも住友不動産である。つまり、クロスポイント再開発組合が役員名を非開示にしたいのは(区の非開示決定だが当然組合の意向でもあろう)、上板橋と事情が違う大山特有の理由があるからで、それは反対派が煩いから以外に考えられない。

組合ニュース

予算までも不明瞭

 加えて、多額の公費が投入されているのもかかわらず、予算単年度主義もあり、クロスポイントの区の予算が不明瞭である。令和3年度の区の予算概要では50ページに6億5千万円が市街地再開発事業費補助と記載あるが、工事監理、共同施設整備としか説明はない。また、いたばしNo1実現プランでは65ページに、ピッコロスクエアなどと併せて令和3年から5年度まで、59億6800万円の記載があるが内訳は不明であり、いずれも、区に尋ねても内訳は開示しない。

 一方、上板橋再開発事業は、404億3000万円の予算が内訳とともに開示されているのだ。また、意見交換会を何回も開催し、広く意見交換しニュースで公開している。今後も駅前広場等の活用について協議を続ける予定らしい。上板橋では1991年に最初の再開発が始まり、いったん頓挫した経緯がある。30年近い間、住民の意向で計画が変更されてきた経緯も影響していると思われるが、大山とは違い時間をかけ住民に対して計画を説明し、検討している。ここでも、大山クロスポイント再開発の住民に背を向けた姿勢が目立つのである。

上板橋駅南口駅前 東地区市街地再開発計画概要パース

ピッコロスクエアの検討にもクロスポイントの情報が必要

 ピッコロスクエア再開発の検討にもクロスポイント再開発の総括が絶対に必要である。なぜ、これほど地元の商店が残らないのか?どうしたら賑わいは担保されるのかなど、クロスポイントの評価なしで、ピッコロスクエア再開発は考えられないはずだ。

3月15日の準備組合の説明会は地権者しか参加できなかった。7月17,19日の区主催の説明会もコロナ禍で中止になり、それに伴う措置として資料の公開と動画配信を行ったが、それで済む問題ではない。動画内容も都市計画法の制度中心の説明ではイメージもわかず問題点がわからない。特に、区民の財産である公有地が約4ooo㎡、3割も占めるピッコロスクエア再開発は、先行するクロスポイント再開発の総括を経て、賑わい創造を図るべきだ。

 私たちは、これからもハッピーロード大山商店街の近隣住民と共に再開発のあるべき姿を追求したい。           

◆参考資料 

ピッコロスクエア予定地とピッコロスクエア再開発施設計画概要

ピッコロスクエア予定地(都有地)

ピッコロスクエア再開発施設計画概要・平面プラン案(準備組合配布)

ピッコロスクエア再開発施設計画概要・断面模式図(準備組合配布)

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